研究実績の概要 |
我々は世界に先駆けて肝硬変症に対する自己骨髄細胞投与療法(Autologous Bone Marrow Cell infusion, ABMi療法)を開発した。現在までに、山口大学、山形大学、国立国際医療研究センター、韓国延世大学と多施設臨床研究を行い、その有効性を報告してきた。平成25年6月には日本初の“先進医療B”に認められ、現在多施設臨床研究を推進している。肝線維症は肝細胞損傷が原因で細胞外基質の過剰生産や分解低下により生じる。肝硬変における肝星細胞のエネルギー代謝に着目した基礎的研究を行うことで、星細胞の活性化制御による肝線維化改善、さらには肝硬変治療につながる新たな治療法開発を目的とした。生物の細胞内で各コンパートメントのATP濃度には違いがあり、ATP産生場所から消費場所へとエネルギーを転移することは重要である。エネルギー代謝の視点から、肝星細胞の活性化について研究を行ってきた。αSMAやコラーゲンの発現を指標とし、肝星細胞の活性化に関わるエネルギー代謝に関わるであろう遺伝子をノックダウンし、活性化に関わるかどうか評価を行ったところ、アデニル酸アイソザイムB(AKisoB)が肝星細胞活性化と関係が深いことを見出した。またマイクロアレイのデータをIPAで解析を行い評価したところ、AKisoBをノックダウンするとαSMAが2.7倍、Col1A1が2.1倍に増加することを確認した。さらにIPAを用いた解析を行い興味深いPathway解析の結果などが得られた。
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