研究実績の概要 |
ユビキチンタンパクは、不要な蛋白質に付加されポリユビチキン化すること でプロテアソームに不要な蛋白を認識させ分解させる。このことにより生体内の蛋白質の分解、細胞周期やシグナル伝達、形態形成や分泌、オルガネラの構築、DNA修復、翻訳調節などにおいてユビキチン-プロテアソームシステムは非常に重要な役 割を担っている。標的蛋白質に対するユビキチン化は 3つのユビチキン酵素、ユビチキン活性化 酵素(E1)、結合酵素(E2)、さらに転移酵素(ユビチキンリガーゼ)(E3)によって行われる。この中でユビチキンリガーゼンは作用基質を認識する重要な役割を担っている。最近までこの多種に及ぶユビチキンリガーゼの作用機構の詳細については大部分不明であった。今回、我々は消化管細胞における BTB-ZnF ドメイン蛋白質-Cullin3-E3ユビキチンリガーゼ複合体が果たしている役割について検討することで以下の研究成果を得た。今回検討した胃癌細胞(GCIY, NUGC4, KATOIII, MKN28, MKN45, MKN74)と大腸癌細胞(HCT116, HT29, SW480, CaCo2)にCullin3はmRNAレベルでも蛋白レベルでも認められた。 Cullin3のみのSiRNAでは形質発現に明らかな変化は認めなかった。Cullin3のSiRNAは蛋白レベルとmRNAレベルでCullin3が有効であることが確認された。Alpha screening assayを使用することで、試験管内でCullin3と結合する可能性のあるBTB蛋白118種類を同定した。118種類の候補BTB蛋白を、SiRNAライブラリーを使用して、胃癌細胞株と大腸癌細胞株で網羅的にSiRNAを行ったところ、細胞増殖能に変化を認める、胃癌細胞に対するBTB蛋白Aと大腸癌細胞に対するBTB蛋白Bを見出すことが可能であった。
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