研究課題
大腸癌は本邦においても罹患率、死亡率ともに増加しており、その発生機序解明と治療ターゲットの解析は非常に重要な命題となっている。今回、我々は大腸癌における以下の2点の発生機序と治療ターゲット・バイオマーカーについての検討を行った。検討1として、生体内で約183種類あるといわれているBTBドメインを有する蛋白質の機能解析はほとんど 行われておらず不明な点が多いが、近年、癌細胞においても BTB ドメイン蛋白-Cullin3-E3 ユビキチンリガーゼはあらたな治療タ-ゲットになる可能性が報告されている。大腸癌における BTBドメイン蛋白が果たしている役割について検討することであらたな癌治療ターゲットを見出し治療に役立てることを本研究の目的とした。183種類の候補BTB蛋白のうち、Alpha screening assayを使用することで、試験管内でCullin3と強く結合するBTB蛋白(BACK-Kelchタンパク質群)を同定した。BTB蛋白のSiRNAライブラリーを使用して、大腸癌細胞株で網羅的にBTB蛋白質のSiRNAを行ったところ、細胞増殖能に変化を認める、大腸癌細胞株に対するBTB蛋白(KLHL-X)を見出すことが可能であった。BTB蛋白質の一種であるKLHL-Xの発現が大腸癌において増殖、浸潤に関与している可能性が示された。検討2として、大腸側方型発育腫瘍における、異所性胃型粘液形質発現を検討することで、腺腫から癌へと悪性化する時におきる粘液形質変化の関連と、大腸癌の浸潤度と異所性胃型粘液形質発現の関連につき検討して大腸癌の治療バイオマーカーとして使用できるかの検討を行うことを目的とした。大腸LSTにおける異所性胃粘液形質発現や腸型粘液、内分泌分化傾向やSOX2は腫瘍の発生や悪性化と関連して、これらの治療進行度をはかるマーカーになり得る可能性が示唆された。
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