肝線維化に伴う脾腫はうっ血が主因とされているが、免疫機構については不明である。本研究では、線維肝の脾臓で抗菌蛋白リポカイン2 (Lcn2)の強発現を認めた。また、このLcn2は肝在住マクロファージであるKupffer細胞の活性抑制作用がある上に、線維化誘導前の脾摘で門脈血中のLcn2が減少し、肝線維化の増悪を認めた。一方、この脾摘による変化は腸管滅菌で認めなくなった。以上より、肝線維化進展における脾臓はLcn2を分泌し門脈を介して腸内細菌によるKupffer細胞の過剰活性を抑制し肝線維化進展を阻止する役割を有することが考えられた。進化の過程で温存されているが、未知である脾臓の一端が分かった。
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