研究課題/領域番号 |
15K19353
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
今井 仁 東海大学, 医学部附属病院, 臨床助手 (40725363)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 / YB-1 / TGF-β / 線維化 |
研究実績の概要 |
炎症性腸疾患(IBD)における腸管合併症である線維性狭窄は、内視鏡的拡張術や外科手術が唯一の治療手段であり、非侵襲的な内科学的な抗線維化治療の開発を目的に研究を行っている。これまでの予備検討で、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)の連続8週投与によって腸管線維化モデルマウスが作成できることを明らかにしている。 同モデルに対して、IFN-γの細胞内伝達シグナル物質であるYB-1の核内移行を促すことで、直接的または間接的にTGF-β/Smad 3シグナルを抑制し抗線維化効果を示すHSc025の経口投与を行い、抗線維化効果を検討した。 その結果、線維化の増生する6週目より毎日経口投与を行うことで、用量依存的に腸管線維化が抑制されることを見出した。また、COL1A2の遺伝子発現量が下がることを定量PCRでも証明している。 以上の結果より、TGF-β/Smad シグナルの抑制が腸管抗線維化治療につばがることを示し、今後はどのようなコラーゲン産生細胞に作用が働くのか、または経時的な炎症性サイトカインの変化についても検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IFN-γの細胞内伝達シグナル物質であるYB-1の核内移行を促すことで、直接的または間接的にTGF-β/Smad 3シグナルを抑制し抗線維化効果を示すHSc025の経口投与が、腸管線維化モデルに対して抗線維化効果が認められたことをすでに明らかにしており、おおむね計画通りに順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、TGF-β/Smad シグナルの抑制が腸管抗線維化治療につながる理由の解明として、どのようなコラーゲン産生細胞に薬理作用が働くのか、または経時的な炎症性サイトカインの変化にどのように影響を与えるのかついて検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウス飼育数を予定よりも少なく済んだため、購入費及び飼育費が削減できた。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品(ELISAや定量PCRのプライマー)の購入費に充てることとする。
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