研究実績の概要 |
1. ヒト膵NET組織を用いた免疫組織化学的染色とその解析 久留米大学病院にて外科切除された膵NET組織全15症例において免疫染色によるDCLK1の発現を検討した.全15症例の内訳は男性/女性; 8/7例,平均年齢; 56(17-77)歳,平均最大腫瘍径; 30.2(12-93)mm,NETG1/G2; 10/5例,機能性/非機能性; 3/12例であった. 全15症例で腫瘍部にびまん性にDCLK1の発現が確認され, 一般的な神経内分泌マーカー(シナプトフィジン、クロモグラニンA、CD56)よりも陽性率が高かった. 染色強度と面積でスコア化し, 腫瘍因子(悪性度、腫瘍径、転移の有無など)との関連性を検討したが, その関連性に有意差は認められなかった. 2. 膵NET株におけるDCLK1発現の決定と、その新規機能の追求 (1),(2) DCLK1を発現している膵NET細胞株CM細胞を用いて, siRNAによりDCLK1ノックダウン細胞を作製した. DCLK1ノックダウン細胞はコントロールと比較し細胞増殖・遊走能が有意に低下した. WB法による解析ではDCLK1ノックダウン細胞でSTAT3及びAKTのリン酸化が低下し,PTEN脱リン酸化の上昇が確認された. (3) DCLK1を発現していない膵NET細胞株QGP1細胞にプラスミドベクターを導入し, DCLK1過剰発現細胞株(QGP1-DCLK1)を作製した. コントロールであるQGP1-EVと比較し細胞形態に著明な変化が認められた. マイクロアレイ法での網羅的に解析では, EMTに関連する幾つかの分子に有意な変化が認められた. リアルタイムPCR法, WB法を用いてメッセージ, 蛋白レベルでの解析では, SLUG及び, 間葉系マーカーN-CADHERIN, VIMENTINが上昇した. またAKT、Erk、FAKのリン酸化, CYCLIN D1の上昇も認められた.
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