神経内分泌腫瘍(NET)の起源や発生、そして浸潤・転移機序については不明な点が多い。我々は、癌幹細胞マーカーDCLK1が膵NET組織に強くびまん性に発現している所見を見出した。ヒト膵NET細胞株においては、DCLK1がFAK-Tyr925残基のリン酸化を促進し、EMT regulatorであるSLUGの発現を上昇させることを初めて示した。DCLK1自体の詳細な機能が不明な中、FAKを介したEMT制御に関わる点を今回明らかにした。“高率に転移する”NETの臨床的特徴や、NETに対する新規治療標的分子をDCLK1-FAK-SLUG軸に沿って考案する上で重要な知見であると考える。
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