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2015 年度 実施状況報告書

心筋梗塞後炎症の制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K19365
研究機関筑波大学

研究代表者

木村 泰三  筑波大学, 附属病院, 病院講師 (00636508)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードテネイシンC / 心筋梗塞後炎症 / 心室リモデリング
研究実績の概要

本研究では、非感染性炎症の鍵分子であるToll like receptor 4 (TLR4)の新たな内因性リガンドとして注目されている細胞外マトリックス分子、テネイシンC(TNC)に着目し、遺伝子改変マウスを用いて心筋梗塞モデルを作製し、単球・マクロファージを中心とする心筋梗塞後炎症の制御機構におけるTNCの役割を明らかにし、新たな治療ターゲットとしての可能性について検討することを目的とした。
TNCノックアウト(KO)マウスでは野生型マウスと比較して、心筋梗塞4週後の左室収縮が優位に保たれており、左室径も優位に小さいとこから、左室リモデリングが抑制されている事がわかった。また、心筋のFluorescence activated cell sortning (FACS)解析により心筋梗塞後1週間以内の急性期に、浸潤した単球やマクロファージの総数は同等であるが、TNC-KOマウスでは野生型マウスと比較して、優位にF4/80+, CD206+の炎症抑制性M2マクロファージの割合が多く、F4/80+, CD206-の炎症促進生M1マクロファージやCD11b+, Ly6c+の炎症性単球の割合が少なかった。また、急性期にTNC-KOマウスでIL-6, IL-1βなどの炎症性サイトカインの発現が低下していた。さらにマウス骨髄より単離した単球から誘導されたマクロファージに対してTNC刺激は M1マーカー発現を増加させ、IL4刺激で誘導されたM2マクロファージに対しては、M2マーカーの発現を抑制した。以上より、TN-Cはマクロファージのサブセット制御を介して心筋梗塞後の炎症を持続させ、心室リモデリングを悪化させていると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していたin vivoとin vitroの研究から、テネイシンCは心筋梗塞後急性期の炎症と慢性期左室リモデリングを増強することが確認できた。そのメカニズムとしてテネイシンCによる心筋梗塞後浸潤マクロファージのサブセット制御が示唆された。

今後の研究の推進方策

今後は、テネイシンCによるマクロファージサブセット制御に関与している受容体を確認する。TLR4を想定している。またマクロファージにおける、テネイシンCにより誘導される下流の細胞内シグナル分子を突き止める予定である。さらに、トランスジェニックマウスを用いて心筋梗塞モデルを作製し、ノックアウトと同様に評価していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

初年度にトランスジェニックマウスを使用した研究をしなかったため、マウス飼育費や生化学消耗品費用が残った。

次年度使用額の使用計画

マウス骨髄由来マクロファージにおけるテネイシンCの受容体およびその下流の細胞内シグナルを同定するための培養実験、生化学実験をおこなう。また、テネイシンCトランスジェニックマウスを使った心筋梗塞実験を行う。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Tenascin-C Modulates Inflammaotion and Aggravate Ventricular Remodeling after Myocardial Infarction in Mice Model2016

    • 著者名/発表者名
      Taizo Kimura
    • 学会等名
      第80回日本循環器学会
    • 発表場所
      せんだい青葉交流広場、仙台
    • 年月日
      2016-03-20
    • 国際学会
  • [学会発表] Tenascin-C regulates inflammatory response and aggravate ventricular remodeling after myocardial infarction in mice model2015

    • 著者名/発表者名
      Taizo KImura
    • 学会等名
      ESC congress 2015
    • 発表場所
      Excel London、 ロンドン、イギリス
    • 年月日
      2015-08-31
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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