研究課題/領域番号 |
15K19367
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
町野 毅 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (30730387)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | カテーテルアブレーション / 致死性不整脈 / 主要心血管イベント |
研究実績の概要 |
心房細動および致死性不整脈(心室頻拍・心室細動)に対するカテーテルアブレーション治療が欧米で開発され、本邦にも普及してきたが、薬物治療を併用しても治療困難な症例が多く存在する。これらの不整脈は治療抵抗性高血圧と同様に交感神経活性亢進が病態に大きく関与することから、腎交感神経アブレーション治療が、新たな治療法として期待されている。我々は除神経達成度を治療中に確認できる指標を開発していくことを目的として研究を行っていたが、カテーテルアブレーションを行うための通電用高周波発生装置が老朽化のために利用できなくなり、同装置の購入および調整が必要であった。このため、致死性不整脈に対する不整脈起源カテーテルアブレーション治療の治療成績に関する検討を行った。カテーテルアブレーションにより不整脈起源の消失が得られた症例は、消失が得られなかった症例と比較して、致死性不整脈の再発が有意に少なく(80% vs. 20%, p=0.002)、予後が良好であることが明らかとなり、この研究成果を欧州心臓病学会で報告した。また、腎交感神経が活性化しており、心房細動や致死性不整脈の発症に大きく関与すると考えられている治療抵抗性高血圧に関する予後調査も行った。治療抵抗性高血圧は、非治療抵抗性高血圧と比較して、主要心血管イベントの発症率が有意に高く(p=0.02)、さらに、非治療抵抗性高血圧の主要な死因は悪性腫瘍であったが、治療抵抗性高血圧には悪性腫瘍による死亡はなく、主要な死因は心血管イベントであることが明らかとなり、この研究成果を日本循環器学会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
通電用高周波発生装置の購入および調整のために、動物実験は進めることができなかったが、致死性不整脈に対する不整脈起源カテーテルアブレーション治療の治療成績に関する検討を行い、研究成果を欧州心臓病学会で報告した。また、腎交感神経が活性化しており、心房細動や致死性不整脈の発症に大きく関与すると考えられている治療抵抗性高血圧の主要心血管イベントに関する予後調査も行い、研究成果を日本循環器学会で報告した。このように、臨床における研究を進めることにより、当該課題領域の新たな知見を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
通電用高周波発生装置の調整が完了し、購入することができたため、動物実験を進めていく予定である。当該指標を用いた腎交感神経のカテーテルアブレーションを行い、心房および心室における有効不応期や心房細動および心室細動の誘発性と腎組織ノルエピネフリンとの関連性等を評価していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
通電用高周波発生装置の購入前の調整が必要であり、動物実験を進めることができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験用動物や器具・試薬など消耗品の購入および検体検査費用等に充当し、動物実験を進めていく予定である。また、積極的に国内外の学会へ参加し、情報収集および研究成果の発表等を行っていくための必要経費として使用する予定である。
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