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2015 年度 実施状況報告書

ミトコンドリアタンパク質G0S2の虚血におけるATP産生制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K19378
研究機関大阪大学

研究代表者

加藤 久和  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教(常勤) (30589312)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード循環器・高血圧 / 分子心臓学 / エネルギー代謝 / ユビキチン
研究実績の概要

心臓は常に自律拍動をするために莫大なエネルギーを消費している。心筋が虚血状態になると、エネルギーの供給と需要のバランスが崩れ心不全に陥る。しかし虚血時におけるエネルギーすなわちATPの供給制御メカニズムについては未だ解明されていない。 本研究では虚血におけるATP産生制御機構を解明するために、最近明らかにしたATP 合成酵素制御因子G0S2 の相互作用様式および量的制御機構について生化学的解析を行う。また虚血においてそのような制御機構が心筋細胞のATP 産生とエネルギー代謝にどのように関わっているかを明らかにする。
平成27年度では、主に培養心筋細胞を用いた解析を行った。まず、部位特異的光クロスリンクを培養心筋細胞で効率的に行うために、アデノウイルスでの発現系の構築を行った。特に非天然アミノ酸をコードするtRNAプロモーターの選択が重要であり、それにより発現量が大きく異なることが明らかとなった。tRNAあるいはaaRSの発現量の最適化の後光クロスリンクを行った結果いくつかの部位でのクロスリンクにて、結合タンパクとみられるバンドを検出し現在解析中である。
G0S2の量的制御メカニズムの解明のため、まず培養心筋細胞を用いて、G0S2がユビキチン化されているかについて検討を行った。その結果ユビキチン化を示すラダー状のバンドを認め、細胞内においてG0S2が実際にユビキチン化されていることを明らかにした。一方、非ユビキチン化変異体とされているリジン→アルギニン置換変異体を作成し、G0S2タンパク質の量的変化やユビキチン化を検討したが、野生型同様の分解速度とユビキチン化を示し、通常のユビキチン化機構とは異なる可能性が示唆された。現在ユビキチン結合部位を探索中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

非天然アミノ酸導入のためのアデノウイルスコンストラクトを作成したが、当初作成したものは十分な発現量を得ることができず、新たに作成し直したために時間を要した。またユビキチン化を示すところまでは順調に実施できたが、これまでの典型的なユビキチン化ではないことが示唆されたため、分解に寄与するアミノ酸部位の同定に時間を費やしている。

今後の研究の推進方策

平成28年度では、平成27年度の成果をもとに、まず遅れているユビキチン化部位同定および結合するFoF1-ATP合成酵素のサブユニット同定に注力する。その後それらの機能的意義を解明するために心筋細胞を用いてリアルタイムでのATP濃度変化を測定する。またゼブラフィッシュにおいて、当研究室で確立された心臓でのATP濃度測定系を用いてG0S2遺伝子導入個体での心臓のATP濃度変化についての検討を行う。その後研究実施計画に基づくヒトのミトコンドリア病患者サンプルを用いた検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

計画よりやや遅れており、当初当該年度に行う予定であった、G0S2変異体作成や酸素消費量の測定などエネルギー代謝パラメータに関する検討を次年度に行うことになり、余剰金が発生した。

次年度使用額の使用計画

G0S2変異体作成や酸素消費量の測定などエネルギー代謝パラメータに関する検討、およびその成果を基にゼブラフィッシュを用いたATP濃度の測定実験、ヒトのミトコンドリア病患者サンプルを用いた検討のために研究費を使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A Development of Nucleic Chromatin Measurements as a New Prognostic Marker for Severe Chronic Heart Failure.2016

    • 著者名/発表者名
      1.Kanzaki M, Asano Y, Ishibashi-Ueda H, Oiki E, Nishida T, Asanuma H, Kato H, Oka T, Ohtani T, Tsukamoto O, Higo S, Kioka H, Matsuoka K, Sawa Y, Komuro I, Kitakaze M, Takashima S, Sakata Y.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 11 ページ: e0148209

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0148209. eCollection 2016.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] An interaction between glucagon-like peptide-1 and adenosine contributes to cardioprotection of a dipeptidyl peptidase 4 inhibitor from myocardial ischemia-reperfusion injury.2015

    • 著者名/発表者名
      2.Ihara M, Asanuma H, Yamazaki S, Kato H, Asano Y, Shinozaki Y, Mori H, Minamino T, Asakura M, Sugimachi M, Mochizuki N, Kitakaze M.
    • 雑誌名

      Am J Physiol Heart Circ Physiol.

      巻: 308 ページ: H1287-97

    • DOI

      10.1152/ajpheart.00835.2014.

    • 査読あり
  • [学会発表] プロテアソーム依存的タンパク質分解を制御する化合物スクリーニング系の構築2015

    • 著者名/発表者名
      加藤久和、木岡 秀隆、高島成二
    • 学会等名
      GE Life Sciences Day 2015
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2015-07-24 – 2015-07-24
  • [備考] 大阪大学大学院医学系研究科・生命機能研究科 医化学講座

    • URL

      http://medbio.sakura.ne.jp/

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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