単球・マクロファージを介する炎症は動脈硬化の病態において重要な役割を果たしており、同細胞を標的とする抗炎症治療は動脈硬化性疾患に対する新たな治療となる可能性が期待される。本研究では、生体吸収性PLGAナノ粒子を用いたPPARγアゴニスト(ピオグリタゾン)の単球・マクロファージへの送達により抗炎症作用を通じ動脈硬化プラークの破綻が抑制されるとの仮説を検証した。 高脂肪食負荷・アンジオテンシンⅡ投与を行ったApoE欠損マウスに蛍光マーカー(FITC)を封入したPLGAナノ粒子を静脈内投与したところ、末梢血単球、プラークマクロファージへの集積を認めた。ピオグリタゾン封入PLGAナノ粒子(Pio-NP)の血管内投与は腕頭動脈においてプラーク破綻のサロゲートマーカーである線維性被膜(buried fibrous cap)数を減少させた。また、Pio-NPは末梢血Ly-6Chi単球数を減少させ、腕頭動脈においてMMP活性化を抑制した。
|