研究課題
2016年4月から所属機関が福島県立医科大学へ変更となったため、再度、呼気ガス研究のための倫理委員会への申請やガスクロマトグラフィーの準備を行った。2016年9月からガスクロマトグラフィーによる研究が福島県立医科大学でも可能となった。2016年9月から2017年3月までの間に、前向きに循環器内科入院患者を中心に約150名の呼気ガスを採取し、ガスクロマトグラフィーにより呼気アセトン濃度を測定の上、各種検討を行った。これまで、糖尿病合併心不全における呼気アセトン濃度の意義については明らかにされていなかったため、糖尿病合併心不全症例の検討を行った。糖尿病合併急性心不全における呼気アセトン濃度が心不全治療後に低下することについて、International Heart Journal誌に症例報告を行った(in press)。また、糖尿病合併心不全の症例を収集し、呼気アセトン濃度と各種検査所見の関連を検討し、現在雑誌に投稿中である。心不全においては、糖尿病合併患者は多く認めるため、糖尿病合併例でも呼気アセトン濃度が心不全のバイオマーカーとなることが分かれば、非侵襲的検査である呼気アセトン濃度の有用性を高めることができると考えられた。さらに心不全だけではなく、狭心症や心筋梗塞、肺高血圧患者においても、呼気アセトン濃度が有用なバイオマーカーとなり得るかどうかを、現在呼気を収集した症例において検討中である。
2: おおむね順調に進展している
呼気アセトン濃度の糖尿病合併心不全における新たな知見を報告することができた。また心不全のみならず、狭心症や心筋梗塞、肺高血圧症などの各種循環器疾患における呼気アセトン濃度を収集することができたので、心不全以外の疾患における意義について、検討を進めることができている。
2016年9月から2017年3月までに収集した症例に関して、非侵襲的検査である呼気アセトン濃度の新たな意義を発見するべく検討を進めていく。特に、1.心不全以外の循環器疾患との関連、2.心不全治療前後での変化、3.循環器疾患の合併が多い睡眠時無呼吸症候群との関連について、各種検査所見とともに、詳細な検討を進めている。
物品費は前年度のものを一部使用できたので、想定よりも費用を要しなかった。学会参加への旅費も想定よりも要しなかった。そのため一部残金が生じた。
新たな呼気ガス検査機器の購入や消耗品である純空気の購入に役立てる予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
International Heart Journal
巻: in press ページ: -
Geriatrics & Gerontology International