研究課題
本研究において、まず102名の心不全患者における呼気アセトン濃度を測定した。その結果、呼気アセトン濃度が右心カテーテル検査における血行動態と関連していること、特に肺動脈楔入圧と正の相関があることを示した(Circ J 2016; 80: 1178-1186)。次に、35名の心不全のある糖尿病患者と20名の心不全のない糖尿病患者の呼気アセトン濃度を比較した。検討の結果、糖尿病患者においても心不全で呼気アセトンが上昇していることが分かった(BMC Cardiovasc Disord 2017; 17: 280)。急性心不全においても、呼気アセトン濃度が治療後に低下することを報告した(Int Heart J 2018, in press)。さらに、心不全患者において呼気バイオマーカーは予後予測因子(死亡や心不全イベント)となるかどうかを、平均フォローアップ期間318日にて心不全患者83名について検討した。単変量解析において、呼気アセトン濃度は心不全患者の予後予測因子とはならなかった(HR 0.891、p = 0.698)。呼気アセトン濃度以外の呼気バイオマーカーとして、まずは呼気中の水素濃度を測定した。呼気中の水素濃度の夜間の変動は、心不全の重症度と関連している可能性が示唆された(第80回日本循環器学会で発表)。引き続き、最終年度は心不全患者や狭心症患者を対象に呼気中の硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドを計測し、現在はその解析を進めている。これまでの心不全に対する呼気低分子化合物の検査から、心不全患者に対する呼気アセトン濃度の測定は、有用な非侵襲的バイオマーカーになる可能性が示唆された。しかし、呼気検査は一般的な検査ではないため、検査の簡易化が今後必要になってくると考えられた。他の検討した呼気バイオマーカーは、心不全との関連性が見られるものはあったが、呼気アセトン濃度よりは、心不全に対する臨床的有用性は低かった。
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