研究課題/領域番号 |
15K19402
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
永井 利幸 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (00528218)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 心臓サルコイドーシス / 免疫応答 / 樹状細胞 / マクロファージ / 病理組織診断 |
研究実績の概要 |
自施設の他に、北海道大学循環器内科の協力も得られたため、共同研究として解析を行った。心内膜心筋生検が施行された連続95例の心臓サルコイドーシス確定診断例と対照群20例(他非虚血性心筋症)全ての心筋組織検体に免疫組織科学染色を施行した。興味深いことに、サルコイド肉芽種の周辺にはCD209陽性樹状細胞、CD68陽性マクロファージが多数浸潤している一方で、CD163陽性抗炎症M2マクロファージの浸潤は非常に少なかった。さらに、心臓サルコイドーシス確定診断例の非肉芽種心筋組織においても、対照群と比較してCD209陽性細胞とCD68陽性マクロファージの浸潤が有意に多い一方で、CD163陽性M2マクロファージの浸潤は少なかった。ROC解析の結果、心臓サルコイドーシス症例の非肉芽種組織におけるCD209樹状細胞の増加かつCD163/CD68マクロファージ比の減少は、対照群との比較で特異度95%,陽性予測率96.8-98%の精度で心臓サルコイドーシスを予測可能であった。この結果は心臓サルコイドーシスの診断において、心筋組織から肉芽種が必ずしも証明されなくとも、新しい病理組織補助診断法の可能性を示したことになり、意義深い成果と考えている。現在学術論文として国際科学誌に投稿中である。これに加えて、将来的に研究を発展させ、ステロイド治療に関連した解析を行うため、同データベースより解析を行い、心臓サルコイドーシス症例における長期的ステロイド治療の必要性を示した研究結果を合わせて国際科学誌に報告した(Nagai,et al. Am J Cardiol 2016; 117: 966-71.)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年計画の1年目で、心臓サルコイドーシスの新規診断法の開発に関して、学術論文として投稿レベルまで到達しており、順調であると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は作成した新規診断法の妥当性を検証コホートにより検討した上で、心筋組織に浸潤する各種炎症細胞と予後との関連、免疫抑制治療効果との関連も検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は研究補助員を募集していたが、適切な人材を雇用できなかったため、人件費にかかる経費を使用できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は適切な研究補助員を雇用し、研究を円滑に遂行した上で、得られた成果を積極的に国内外の学会で発表し、論文化を目指す。
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