エクソソームは細胞から分泌される小胞であるが、近年、エクソソームには様々な蛋白質や核酸が含まれていることが報告され、特に多くの遺伝子や蛋白発現制御に関与しているmicroRNAが内包されており、そのプロファイルを解析することで非侵襲的なバイオマーカーとなりうることが期待されている。本研究では閉塞性肺疾患のうち、気管支喘息患者の末梢血エクソソームRNAを次世代シーケンサーにて解析した。北海道難治性喘息コホートに参加している喘息患者のうち、難治性喘息4名と軽症・中等症喘息4名、さらに健常者4名の血清よりエクソソーム分画のみを採取後にRNAを抽出し、次世代シーケンサーにてRNAシークエンシングを施行した。その結果、難治性喘息群では他群と比較してantisense to repeat elementsの減少やantisense to exonsとunannotated RNAの増加が認められるなど、末梢血エクソソーム内のRNAプロファイリングが変化していることが示された。さらに、microRNAの解析では、難治性喘息群においてmiR-128、miR-140-3p、miR-196b-5pよびmiR-486-5pが他群に比較して有意に上昇しており、パスウェイ解析ではErbB signaling pathway、focal adhesion、Neurotrophin signaling pathwayがこれらの上昇していたmicroRNAにより制御されうるものとして同定された。最終年度においてこの知見を検証すべく、別の難治性喘息4名、軽症・中等症喘息4名、健常者4名より同様の解析を施行したが、うち数検体のエクソソームRNAの品質が極端に低下しており、次世代シーケンスによる解析が不可能な状況であった。今後、さらに新たな検体を用いてRNAシークエンシングの結果を検証していく予定としている。
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