研究課題/領域番号 |
15K19410
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
村松 聡士 東北大学, 大学病院, 助教 (30732549)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メタボロミクス解析 / 新規バイオマーカー / フェノタイプ |
研究実績の概要 |
(1)平成27年度には当院通院中のサルコイドーシス患者約250名に対して研究内容の説明を行い、およそ230名より研究参加の同意を得ることができた。対象者からは血液検体および尿検体の採取を行い、5ml程度の専用容器に保存した。またこれらすべての患者の臨床データ(年齢、性別、臨床症状、罹患臓器、診断後の経過、合併症、加療内容など)を診療録より抽出しデータベースへの記入を行った。 (2)得られた検体のうち、サルコイドーシス患者の約100検体および健常者の4検体に対して、東北メディカルメガバンク機構研究者である三枝の協力のもと、脂質代謝産物等を網羅的に解析するため、LC-TOF/MSによる非標的メタボロミクス解析を行った。血液検体からは、健常検体に対して有意差をもって増加しているリン脂質化合物を同定した。尿検体からは有意差をもって減少しているムコ多糖類を同定した。 (3)作成したデータベースより患者背景をフェノタイプ(心臓サルコイドーシスあり、筋肉サルコイドーシスあり、眼病変サルコイドーシスあり、皮膚サルコイドーシスあり、罹患臓器数、発症年齢、全身ステロイドでの加療が必要になった等)に分けてそれぞれの患者群の抽出を行った。またこれらのうち、心臓サルコイドーシスがあるフェノタイプでは健常者群、心臓サルコイドーシス群、心臓サルコイドーシスがない群で解析を行った。また、全身ステロイドでの加療を行ったフェノタイプの患者検体では、ステロイド加療前後の検体を用いて解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
通院中の患者のおよそ9割より研究参加の同意を得ることができ、その後滞りなく血液検体および尿検体を採取、保存することができた。患者の臨床データ(年齢、性別、臨床症状、罹患臓器、加療内容など)を診療録より抽出しのデータベース化を行った。
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今後の研究の推進方策 |
非標的メタボロミクス解析によって得られた結果から、サルコイドーシス患者において有意に変動している化合物を同定した。これらの中で、臨床的意義を有しているものを診療録より抽出したデータベースと照らし合わせて、新規バイオマーカーの候補となりうる化合物を特定する。また、同時に上記非標的メタボロミクス解析で得られた化合物の中から、特に中心代謝に関連する化合物を、LC-MS/MSによる標的メタボロミクス解析手法を用いて再現性を有する形で測定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
サルコイド―シス患者の非標的メタボロミクス解析が、共同研究者の三枝の指導のもと、より簡易に行うことができたことによると考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
非標的メタボロミクス解析で約100検体の解析を行ったが、同意を得られた患者数は倍の200例を超えている。解析を行う検体数はさらに倍に増やすことができるため、解析の精度を高めるためにも追加で非標的メタボロミクス解析を施行し、化合物の同定を行う。
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