|
本研究の主題は、難病の一つであるサルコイドーシスの診断および予後予測が可能な新規バイオマーカーを検索することである。そのためにまず、当院に通院中のサルコイドーシス患者のデータベースの作成を行い、その後に比較的侵襲の少ない検査方法として、患者の血漿および尿検体を用いてメタボロミクス解析を行った。これらの解析の中で、まずはサルコイドーシスの活動性に注目して評価を行うため、全身ステロイド非投与の患者のうち、疾患活動性の高い群と低い群に分けて検討を行った。数千以上の候補化合物の中で、最終的には血漿からは9つの化合物が、尿検体からは1つの化合物が活動性の高い群で有意差をもって増加していた。この中には既存のバイオマーカーとして知られている血清ACEや血清sIL-2Rとの有意な相関を認めるものもあった。ただし血清ACEや血清sIL-2Rは活動性を反映するバイオマーカーとしては不十分なマーカーであるため、さらなる検討が必要と考えられた。
今後の課題としては、更に解析症例数を増やすこと、同一症例でも複数の時期の検体を用いて再現性を確認すること、同一症例で長期経過中の活動性との相関およびステロイド投与例では治療前後での変化を確認することなどが必要と考えられた。さらに当院以外の他施設での検体での再現性の確認することも必要であると考えられる。これらに関して今後更に解析を加えることで、最終的に実臨床で有用な因子を検索できると考えられる。
|
