研究課題/領域番号 |
15K19411
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
木村 友美 山形大学, 医学部, 医員 (50536935)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肺気腫 |
研究実績の概要 |
COPD(choronic obstructive plumonary disease)の病態は、有害物質の吸入による肺の慢性炎症である。肺胞や気道における慢性炎症の結果、破壊と不完全な修復が繰り返され、リモデリングが進み、COPDが発症、進展する。 Chemokine(C-C motif) ligand-1(CCL1)は、活性化した炎症細胞が産生するケモカインである。免疫修飾やリモデリングに関与することから、COPDの病態にも関与すると予測される。しかし、現在のところCOPDとCCL1の関連を証明した報告はない。 当教室では肺組織に特異的にCCL1を高発現する遺伝子改変マウスを作成した。無刺激の状態の遺伝子改変マウスは、外観、成長、生存率において、野生型と変化なかった。しかし、気管支肺胞洗浄液を用いた検討では、野生型と比べ肺胞マクロファージ数は有意に減少しており、FACS解析によりマクロファージの分化マーカーF4/80発現が減少していることを確認した。このマウスに長期間喫煙曝露を施すことにより、CCL1がCOPDの発症や進展に与える影響を解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験として、野生型マウスに対して長期間喫煙曝露を施行し、肺気腫が形成されるかどうか確認を行った。具体的には、当大学動物実験施設内に設置されているMIPS社喫煙曝露装置にて、1日2本・週5日・6ヶ月間喫煙曝露を施行した。摘出した肺の組織標本の解析により、本方法で肺気腫が作成されることを確認した。現在は、特異的にCCL1を高発現する遺伝子改変マウスとコントロールマウスに対して喫煙暴露中である。
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今後の研究の推進方策 |
喫煙負荷開始より6ヵ月の時点で、特異的にCCL1を高発現する遺伝子改変マウスとコントロールマウスの気腫化の進展度を病理的・呼吸機能的に比較する。病理的評価は肺組織の気腫化の程度を① Mean liner intercept、②Point counting法、③Destructive indexを用いて定量評価を行う予定である。呼吸機能的評価に関しては、マウス肺機能測定装置(Buxco Research Systems)を用いて、0.1秒量と肺コンプライアンス測定する予定である。 さらに喫煙曝露によってもたらされる炎症強度の差異についても、採血、気管支肺胞洗浄、肺組織やその他の臓器よりRNA抽出、蛋白質抽出を行って、炎症性および抗炎症性サイトカインを測定する予定である。 喫煙負荷後に両マウス間で気腫化肺形成に有意な差異が認められない場合には、エラスターゼ気管内投与による実験肺気腫を作成することも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定されていた予算はほぼ使用したが、4円わずかに残金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
来年度に消耗品購入に使用する予定である。
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