研究課題
Surfactant protein C promoterを用いて肺特異的にCCL1を過剰発現するCCL1 transgenic マウス(SPC-CCL1 Tgマウス)を作製した。本遺伝子改変マウスの観察を行ったところ、無刺激の状態では外観、成長、自然経過における生存率において、野生型と有意な差を認めなかった。気管支肺胞洗浄を行ったところ、SPC-CCL1 Tgマウスにおいては気管支肺胞洗浄液中のCCL1濃度が野生型マウスと比較して有意に高値であることが示された。また回収液中の肺胞マクロファージ数は有意に減少し、マクロファージの分化マーカーの一つであるF4/80発現が減じていることが確認された。これらの結果から、生体内において肺組織におけるCCL1過剰状態は、肺胞マクロファージの表面抗原の発現に影響を与えている可能性が示唆された。雄7~9週齢の野生型マウスと、SPC-CCL1 Tgマウスに対し、喫煙曝露装置を用いて喫煙負荷を行った。喫煙による炎症の発生を評価するため、喫煙負荷1週間後、2週間後に気管支肺胞洗浄を行い、総細胞数、細胞分画を検討した。曝露後1週間で気管支肺胞洗浄を行ったところ、回収液中の総細胞数、分画には両群間に有意差を認めなかった。2週間後の気管支肺胞洗浄では、回収液中の総細胞数はSPC-CCL1 Tgマウスにおいて野生型マウスより有意に増加していた。細胞分画を検討したところ、細胞の大多数はマクロファージであった。SPC-CCL1 Tgマウスは、無刺激の状態では野生型と比較してマクロファージ数が有意に少なかったことから、SPC-CCL1 Tgマウスにおいて、喫煙曝露によりマクロファージがより強く誘導されることが明らかとなった。このことは、CCL1が喫煙負荷による肺内の炎症において、中心的な役割を担っている肺胞マクロファージの分化、および誘導について大きな役割を担っている可能性が示唆された。
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