研究課題
生体において細胞外pHは7.4に保たれている。しかし炎症局所においては様々な炎症細胞の浸潤を伴い、低酸素、低pH環境となる。このような細胞外pHの変化を感知する機構としてプロトン感知性Gタンパク質共役型受容体OGR1(Ovarian cancer G protein-coupled Receptor 1)が報告されている。OGR1はpH6~8とより生理的な状態からpH変化を感知するため、組織、細胞における様々な機能への関与が考えられる。これまで、OGR1欠損マウスを用いて、気管支喘息モデルを作成し、OGR1の気管支喘息における役割について解析してきた。OGR1欠損マウスでは気管支喘息の特徴である気道過敏性や気道炎症が抑制されたことから、OGR1は炎症に対して促進的に働くことがわかった。OGR1の役割について詳細なメカニズムについて解析を行うため、各炎症性細胞に着目し研究を進めてきた。骨髄由来樹状細胞において、OGR1欠損マウス由来樹状細胞では野生型由来樹状細胞と比較して遊走能が抑制されることから、OGR1が気管支喘息における重要なレギュレーターであることがわかった。また、OGR1欠損マウス由来樹状細胞と脾臓由来T細胞の共培養によって、Th2系サイトカインの抑制が認められた。脾臓由来T細胞にもOGR1が発現していることから、T細胞においてもOGR1が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
3: やや遅れている
T細胞におけるOGR1の機能について解析を主たる目的としているが、樹状細胞のT細胞に対する抗原提示機能の解析に難渋している。樹状細胞の抗原提示に関わる抗原の取り込み能、表面マーカーの発現についてフローサイトメトリー法を用いているが、うまく解析できていない。
樹状細胞の抗原提示に関わる抗原の取り込み能、表面マーカーの発現についてフローサイトメトリー法を用いているが、うまく解析できていない。フローサイトメトリー法に用いている抗体を調整するほか、ウェスタンブロッティング法、mRNAレベルでの解析も考慮し進めていく。
OGR1のT細胞の役割について解析を進めているが、樹状細胞との共培養実験における抗原提示能、抗原取り込み能などの解析については平成27年度科研費を獲得する前から所持していた抗体、磁気ビーズで解析が進められたため、試薬などの購入に計画よりも予算をかけずに済んだため、次年度使用額が生じた。また、樹状細胞やT細胞におけるフローサイトメトリー法による解析が難渋し、研究が滞っているため。
フローサイトメトリー法の抗体を見直し、新たに購入する。また、フローサイトメトリー法以外の方法としてウェスタンブロッティング法の試薬を購入し、タンパクレベルでの解析を進める。さらに、mRNAレベルでの確認も計画する。mRNAの抽出に必要な試薬、リアルタイムPCRに使用する試薬やprobeも購入する。
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