研究課題
Hippo pathwayは細胞外基質(ECM)の硬さなどの情報を細胞内に伝えるメカノトランスダクションにおいて重要な役割を果たすことが近年明らかにされている。硬度の異なるポリアクリルアミドハイドロゲル上でHFL-1細胞を培養し、TAZの細胞局在を免疫蛍光染色で調べたところ、線維化肺の硬度である25kPaのハイドロゲル上ではTAZは核内にのみ存在していたが、正常肺の硬度である0.5kPaのハイドロゲル上においては核内のみならず細胞質にもTAZの染色を認めた。このことから線維化肺においてECMの硬度が増すとTAZの核内移行が促進され、増殖・遊走・ECMリモデリングを促進しさらにECM硬度が増すというpositive feedback機構の存在が示唆された。HFL-1細胞におけるTAZ標的遺伝子をRNA-seqを用いて解析した。cell motilityやcell migrationがGO解析で上位に挙げられた。TAZシグナリングとTGF-bシグナリングとのoverlapを多数認め、両者の関連が示唆された。またLGRCデータベースを用いて、間質性肺炎の肺組織におけるTAZ発現と肺機能との関連を評価した。TAZの発現が高いほど、努力肺活量および拡散能が低下することが分かり、TAZ発現と病勢との関連が示された。最後にTazヘテロマウスを用いてブレオマイシンの気管内投与を行った。前年度より個体数を増やし、肺エラスタンス、肺コラーゲン量、Ashcroft scoreによる肺線維化の評価、Col1a1のRNA発現量、BALFにおける細胞成分を調べたが、Tazヘテロマウスで肺線維化が抑制される傾向はあったが有意差を認めなかった。ブレオマイシンの気管内投与による肺炎症/線維化がかなり強く生じてしまったため、Tazヘテロノックアウトの影響が相対的に小さくなってしまった可能性が考えられた。
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Scientific Reports
巻: - ページ: -
10.1038/srep42595.