研究課題/領域番号 |
15K19423
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
原 敦子 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70736420)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 過敏性肺炎 / 免疫複合体 / 網羅的解析 |
研究実績の概要 |
過敏性肺炎は真菌、細菌、鳥類の蛋白、イソシアネートなどの有機あるいは無機塵埃を抗原とし、これを反復吸入しているうちに感作されて起こるアレルギー肺炎の総称であるが、その抗原を同定することはしばしば困難である。我々の大学で独自開発されたイムノコンプレキソーム解析法は、免疫複合体を網羅的に解析することができ、またヒト以外のタンパク質データベースを利用することで外来抗原の特定も可能である。この解析法を用いることで、過敏性肺炎の原因抗原の同定方法を確立することを目的とした研究である。昨年度は夏型過敏性肺炎の気管支肺胞洗浄液(BALF)を用いて、すでに原因抗原として知られているTrichosporonのデータベースで検索を行ったが、該当する蛋白は見いだせなかった。今年度は症例数を増やすとともにTrichosporon以外のデータベースも用いて検討したところ、夏型過敏性肺炎において他の群(夏型過敏性肺炎以外の住居関連過敏性肺炎、関節リウマチ関連間質性肺炎、強皮症関連間質性肺炎、サルコイドーシス、健常成人)と比較してHuman Apolipoprotein Eが高頻度に検出されることを見いだした。また、BALFにおいてApolipoprotein EをELISAで定量化したところ、他群と比較して有意に高値であった。この蛋白が夏型過敏性肺炎の発症あるいは病態に関与している可能性があり、さらなる検討を行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
夏型過敏性肺炎の病態に関与する候補蛋白を見出したが、夏型過敏性肺炎の症例数が当施設での今年度の症例を追加しても少なかったため、他施設に検体の提供を依頼している。他施設の倫理委員会申請・承認に時間を要し遅れてしまったが、平成29年度早々には検体が集まる見込みであり、集まり次第追加実験を行う予定としている。
|
今後の研究の推進方策 |
夏型過敏性肺炎の病態に関与する可能性のある候補蛋白を見出したため、今後は追加検体での免疫複合体網羅解析を行うとともに、BALFにおいてELISA法を用いて候補蛋白の定量化を行い、その値と臨床情報(呼吸機能検査や血液検査などの臨床データ)との相関や重症度、予後との関連を検討していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
夏型過敏性肺炎および住居関連過敏性肺炎における抗原同定に関してスケジュールが遅れている。また夏型過敏性肺炎の症例数蓄積のため他施設に検体提供を依頼しており、倫理委員会申請・承認に時間を要し、追加実験が遅れているため、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は、今年度の実験により夏型過敏性肺炎の病態に関与する可能性のある候補蛋白を見出したため、追加検体での免疫複合体網羅解析を追加実験するとともに、BALFにおいてELISA法を用いて候補蛋白の定量化を行い、その値と臨床情報(呼吸機能検査や血液検査などの臨床データ)との相関や重症度や予後との関連を検討していく予定である。 これらの検討のために必要な試薬やELISAキット等を購入していく必要である。
|