研究課題
過敏性肺炎は真菌、細菌、鳥類の蛋白、イソシアネートなどの有機あるいは無機塵埃を抗原とし、これを反復吸入しているうちに感作されて起こるアレルギー肺炎の総称であるが、その抗原を同定することはしばしば困難である。我々の大学で独自開発されたイムノコンプレキソーム解析法は、免疫複合体を網羅的に解析することができ、またヒト以外のタンパク質データベースを利用することで外来抗原の特定も可能である。この解析法を用いることで、過敏性肺炎の原因抗原の同定方法を確立することを目的とした研究である。昨年度は夏型過敏性肺炎の気管支肺胞洗浄液(BALF)を用いて、すでに原因抗原として知られているTrichosporonのデータベースで検索を行ったが、該当する蛋白は見いだせなかった。今年度は症例数を増やすとともにTrichosporon以外のデータベースも用いて検討したところ、夏型過敏性肺炎において他の群(夏型過敏性肺炎以外の住居関連過敏性肺炎、関節リウマチ関連間質性肺炎、強皮症関連間質性肺炎、サルコイドーシス、健常成人)と比較してHuman Apolipoprotein Eが高頻度に検出されることを見いだした。また、BALFにおいてApolipoprotein EをELISAで定量化したところ、他群と比較して有意に高値であり、さらに各種臨床パラメーターとの有意な相関を認めた。この蛋白が夏型過敏性肺炎の発症あるいは病態に関与している可能性が示された。
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BMC Pulmonary Medicine
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Respiratory Medicine
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