呼吸器悪液質は癌やCOPD等の呼吸器疾患により、進行性に体重減少を伴う筋萎縮をきたす病態である。既存の薬物療法に有効性は無く、悪液質病態の解明と有効な治療法の解明は急務の医療課題である。本研究では、悪液質病態におけるグレリンの意義と脂肪組織の機能変化について検討を行った。その結果、呼吸器悪液質病態において、脂肪組織にではUCP1活性が亢進していること、グレリンの発現が相対的に不足していること、視床下部におけるAgRP/NPYシグナルの活性が低下していることを確認した。また、グレリンの投与が癌の増殖に直接影響するか検討した結果、肺腺癌細胞株へのグレリン添加は、癌細胞の増殖能へ影響しなかった。
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