研究課題/領域番号 |
15K19426
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
鷲野 聡 自治医科大学, 医学部, 助教 (50406162)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | mTOR阻害薬 / 間質性肺疾患 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
研究の内容:2 型糖尿病モデルマウスであるob/ob マウス(雄)とコントロールマウスにテムシロリムスもしくは溶媒の腹腔内投与を行った。投与期間は①3回/週×2カ月、②5回/週×1カ月(+高脂肪食負荷)とした。Ob/Obマウスではテムシロリムス投与により著明な高血糖を呈した。Ob/Obマウス・テムシロリムス投与群では随時血糖値が約300-400 mg/dLと最も高く、コントロールマウス・テムシロリムス投与群では継時的な血糖値の上昇(約150mg/dL→約220mg/dL)を認め、そのほかの2群(Ob/Obマウス・溶媒投与群、コントロール・溶媒投与群)では血糖値は約150 mg/dLで一定であった。ブドウ糖負荷試験ではテムシロリムス投与群でより強い耐糖能異常が惹起された。薬物投与後に摘出した肺の炎症性サイトカイン(インターロイキン6、CCL2)mRNA発現は、Ob/Obマウスでコントロールマウスと比較して高値であった。気管支肺胞洗浄液中の炎症細胞数は、Ob/Obマウスでコントロールマウスと比較してやや高値であった。肺血管透過性を示唆する気管支肺胞洗浄液中のタンパク濃度は両マウスともに同等であった。 意義:2型糖尿病を有する状態では、テムシロリムス投与により高血糖および肺の炎症がより強く惹起されることが示唆された。2型糖尿病患者さんにテムシロリムスを投与する際には、糖尿病の増悪および間質性肺疾患の増悪に注意が必要と考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始が約半年遅れました。研究開始後は順調の進展しています。
|
今後の研究の推進方策 |
前述の動物実験時に採取した血清中の血中インスリン濃度や遊離脂肪酸濃度などを測定する。2型糖尿病ではどのような機序で肺の炎症がより強く惹起されるのか検討する。また、糖尿病モデルマウスにおいて、糖尿病治療薬を用いることによりテムシロリムスによる肺障害が改善するか否かを検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当施設での動物実験申請認可が遅れたことなどにより動物実験の開始が約半年遅れたことと、国際学会に今年度は参加できなかったたことが次年度使用額が生じた主な理由です。
|
次年度使用額の使用計画 |
動物実験を含む実験を継続していきます。
|