mTOR阻害薬は様々な腫瘍に対して抗腫瘍作用を発揮するが、間質性肺疾患や2型糖尿病などの有害事象を発症させることが知られている。また、我々は臨床研究において2型糖尿病患者ではmTOR阻害薬による間質性肺疾患の発症頻度が高いことを見出した。そこで、動物実験を用いてmTOR阻害薬による間質性肺疾患と糖代謝障害との間に関連性があるか否かを検討した。 まず、2型糖尿病モデルマウスにmTOR阻害薬であるTemsirolimusを投与し、コントロールマウスと比較してより高度の糖尿病・肺傷害が誘発されるか否かを検討した。結果は、2型糖尿病モデルマウスでは、Temsorilimus投与によりインスリン抵抗性の増悪を介して著明な2型糖尿病が誘発されたが、肺傷害の程度はコントロールマウスと同等であった。インスリン分泌促進薬であるGlimepirideはTemsirolimus誘発性2型糖尿病を改善させなかった。一方で、もう一種類の2型糖尿病治療薬であるRosiglitazoneは、インスリン抵抗性を改善し、Temsirolimus誘発性2型糖尿病を改善させた。しかし、Rosiglitazoneは肺傷害を軽減させなかった。
|