肺癌組織中のCAFの生物学的特性を解明し、CAFを標的とした肺癌治療法を新しい領域からアプローチすることを本研究の主目的とする。CAFの転写活性の網羅的解析の結果からCAFで高発現する特異的なマーカーを同定しCAFの生理活性機能との研究も行い、研究成果を報告した(H29第57回呼吸器学会総会)。この解析結果からCAFの生理機能活性を制御するCAF特異的マーカーを同定し、中でもCAFで高発現しているITGA11がCAFに強く発現しCAFの遊走能活性の亢進に関わっていることを解明した。申請者はこの研究を引き継ぎITGA11のCAFの機能に影響するITGA11の作用を更に解明し、CAFの活性を抑制することから癌の進展を制御するためのCAF標的治療薬としての創薬の基盤研究として進めてきた。 CAFではITGA11とCollagen11a1の発現が増強しており、肺癌組織での免疫染色でも両者の発現が癌間質で増強していることを確認した。実際、ITGA11の発現は術後早期再発と関連していたことから、ITGA11はよりCAFの制御機能に関わる臨床マーカーであることが確認された。
ITGA11を肺線維芽細胞にKnockdown及び強制発現し遊走能が制御されるかを確認した。Knockdown により遊走能が顕著に抑制されていることを確認した。CAFのConditioned mediaを遊走刺激因子として用い肺癌細胞株A549の遊走能及びを検討し、A549の遊走能を刺激した。逆にA549のConditioned mediaは線維芽細胞のITGA11の発現を増強し、CAF-がん細胞の相互作用においてITGA11の発現をCAFで刺激されることによりCAFの遊走が刺激されていることを解明した。
本年度までの研究成果としてCAFの遊走能に関与するITGA11の研究成果を6月に論文投稿するため現論文作成中である。
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