野生型C57BL/6(B6)マウスに0.0625Uの豚膵臓エラスターゼ(PPE)をマイクロスプレーを用いて気管内投与し肺気腫ができるのを確認した。B6マウスに生理的食塩水あるいは0.0625UのPPEを気管内投与し、7日目、14日目、21日目、35日目に肺を摘出した。急性期から慢性期にかけてのマクロファージのフェノタイプの動向を見るために、各時系列においてM2マクロファージの表面マーカーであるCD163で免疫染色を行った。PPE投与で肺気腫はできていたが、肺胞マクロファージの数が少なかったためか、各時系列で肺胞マクロファージの数やCD163陽性細胞の割合に有意な違いは認めなかった。以前の検討では肺胞マクロファージを多数認めたことから、PPEの容量変更や手技の再確認が必要と思われた。 M2様マクロファージは慢性炎症においてアポトーシス細胞貪食能の低下やVEGFなどの組織修復因子産生の低下などが報告されている。COPDの肺局所において、このようなM2様マクロファージが増加することで炎症の遷延、組織修復の抑制に関与している可能性が考えられた。そこでCD163遺伝子欠損マウスを用いて、PPE投与での肺気腫の程度を検討した。B6マウス及びCD163遺伝子欠損マウスにPPEを気管内投与し21日目に肺を摘出した。気腫化の程度を肺胞間距離を測定し客観的に検討しているが、まだ症例数が少なく統計学的な検討まで至っていない。もう少し数を増やして検討する必要があると思われる。
|