小細胞肺癌は神経内分泌性格を示し、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を高発現する。小細胞肺癌におけるACTHの発現量は不良な予後と関連するが、肺癌がなぜ下垂体ホルモンを産生するかは不明であった。本研究では下垂体の個体発生を制御する転写因子が発癌において活性化されることを見出した。腺癌と小細胞肺癌における体細胞突然変異を比較したところ、小細胞肺癌に特異的な変異は下垂体の発生を制御する転写因子の下流遺伝子に蓄積していた。また、小細胞肺癌の細胞株を3次元培養すると神経分化を誘導され、ACTHの産生が促進された。以上の結果から、肺癌は下垂体の発生経路を利用して神経分化し、ホルモン産生することが示された。
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