研究課題
塩分負荷や電解質異常に伴うERストレスや酸化ストレスに対する検討については、当初予定していた成果は得られなかったが、代わりに塩分負荷や電解質異常について以下の成果が得られた。塩分を過剰に貯留する偽性低アルドステロン2型(PHAII)の原因遺伝子のひとつであるKLHL3をノックアウトしたマウスを作成し、その表現系について解析を行った。KLHL3のexon3にLacZを組み込み,内因性のKLHL3プロモーター下にβ-galを発現するノックアウトマウスを作製した。その結果、KLHL3では,脳と腎臓での発現が強いということが確認された。また,KLHL3ホモノックアウトマウスの腎臓では,WNK1とWNK4の分解不良による発現増加を認められ,その下流のSPAKとナトリウムクロライド共輸送体(NCC)のリン酸化が増加し,高血圧・高カリウム血症・代謝性アシドーシスといったPHAII様の表現系を示し、新たな塩分感受性高血圧モデルが得られた。この結果はすでに論文にて報告を行っている。電解質負荷に伴うPHAIIの原因となるWNK4-SPAK-NCC経路の制御については、高カリウム血症に伴うカルシニューリン(プロテインフォスファターゼ2B)の活性化がWNK4とSPAKとは独立してNCCを脱リン酸化するという新たな制御機構を発見し報告した(Kidney Int. 2017, Feb91(2):402-411)。慢性腎臓病(CKD)モデルマウスとして5/6腎摘マウスとアリストロキア酸腎症モデルについてい検討し、これらCKDモデルマウスの腎臓において酸化ストレスを受けていることを確認し、CKDモデルマウスではWNK-SPAK-NCC経路が活性化しているという結果が得られている。今後、CKDと酸化ストレス・ERストレスと電解質輸送体の制御のメカニズムについて詳細を検討していく予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Mol Cell Biol.
巻: 37(7) ページ: e00508-16
10.1128/MCB.00508-16
EBioMedicine.
巻: 18 ページ: 118-127
10.1016/j.ebiom.2017.03.011
Clin Exp Nephrol.
巻: 21(1) ページ: 63-75
10.1007/s10157-016-1252-1