研究課題/領域番号 |
15K19447
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
忰田 亮平 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (20737697)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アポEノックアウトマウス / メガリンノックアウトマウス / 心腎連関 / インドキシル硫酸 |
研究実績の概要 |
腎障害は心血管疾患を惹起する重大な要因であるが、そのような「心腎連関」の機序は未だ不明である。私たちは高脂肪食負荷マウスにおける腎障害において、エンドサイトーシス受容体メガリンを介する近位尿細管上皮細胞(PTEC)および間質傷害が一次的に重要であることを明らかにした。PTECはインドキシル硫酸(IS)などの血管内皮細胞傷害因子の代謝・排泄に関わることから、PTECおよび間質傷害はそれらの因子の体内蓄積を招く可能性がある。そこで本研究では、動脈硬化モデルであるアポE KOマウスを腎特異的メガリンKOマウスと交配させ、高脂肪食負荷を行って、動脈硬化の発症にメガリンを介する腎障害がどのように関与するか、ISやその他の因子の動態と併せて解析する。さらに腎メガリンの発現抑制あるいは阻害作用を有する薬剤による動脈硬化軽減効果を検討する。 上記の検討のために以下の通り実験計画する。1) 2種類の腎特異的メガリンKOマウスをアポE KOマウスと交配し、メガリン・アポEダブルKOマウスを作製する。2) 上記のマウスを用いて、腎特異的メガリンKOが動脈硬化病変の形成に与える影響を検討する。3) 上記のマウスにおいて、インドキシル硫酸(IS)の血中・尿中濃度および動脈硬化病変内の沈着状態を調べ、動脈硬化病変の形成に与える影響を検討する。 4) 上記ダブルKOマウスと対照アポE KOマウスそれぞれの血清を採取し、血管内皮細胞、マクロファージに与える影響について培養系を用いて検討する。5) メガリン拮抗薬XないしバルドキソロンメチルをアポE KOマウスに投与し、動脈硬化病変の抑制効果について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ApoE KO マウス(B6.129 P2-Apoe <tm1Unc> /J)の凍結受精卵を日本チャールス・リバー株式会社を通じてJackson laboratoryより購入したが、実際に産まれたマウスは本来の毛色と異なる灰色ないし白色のマウスだった。ApoE KOであることは確認できたが、系統が異なるものであったため、再度凍結胚受精卵を送付してもらった。出生後は、本来の黒色の毛色だった。さらに、大学内での動物の移動もあり、計画より遅れたが、現在、ApoE KOとメガリンKOのダブルノックアウトマウスが作製されている。現在頭数は少ないが、順次増やしていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
計画書通りに研究を進めていく。メガリン・アポEダブルKOマウスにおける腎傷害と動脈硬化病変の関係の検討、メガリンの機能抑制がISの血中・尿中濃度、大動脈の動脈硬化病変への蓄積に及ぼす影響の検討、メガリン・アポEダブル KOマウスの血清が血管内皮細胞に与える影響の検討、メガリン・アポEダブル KOマウスの血清がマクロファージに与える影響の検討、メガリン阻害薬Xあるいはバルドキソロンメチルの動脈硬化抑制作用の検討について、実験を順次進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月中に納品、検収は完了したが、支払が4月になってしまうため
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次年度使用額の使用計画 |
3月中に納品、検収が修了した実験器具の支払に使用する
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