研究課題
ストレプトゾトシン腹腔内投与および一側尿管結紮(UUO)による糖尿病性腎症モデルを作成する前段階として,UUOモデルでの解析を行った.全身GFP発現マウスの骨髄をB6マウスに移植後に,UUOを行うことで骨髄移植+腎線維化モデルを作成した.経時的に体重測定,tail-cuff法による血圧測定,24時間蓄尿によるアルブミン尿定量および心エコーによる心機能評価を行った.線維化は,I型コラーゲンα1鎖のmRNA発現,組織のアザン染色およびハイドロキシプロリン法にて評価した.その結果,UUO群において,control群と比較して腎線維化が増悪することが示された.次に,心,腎におけるGFP陽性細胞の浸潤を,免疫染色およびフローサイトメトリーにて確認した.まずCD31との二重染色によって,GFP陽性細胞が血管内ではなく組織に浸潤していることを確認した.またI型コラーゲンとの二重染色にて,GFP陽性細胞が,線維化の強い部位に集積していることも確認した.したがって,このGFP陽性細胞が線維化を促進もしくは抑制することが推測された.フローサイトメトリーによる解析にて,GFP陽性細胞がCD45を発現していることを確認した.またCD3,CD11c,CD19,CD34,F4/80,CCR2,CCR7,CXCR4抗体等を用いて,同細胞のキャラクタリゼーションを解析した.その結果,CD45陽性かつ幹細胞マーカーも陽性となる細胞クラスターを同定した.
2: おおむね順調に進展している
ストレプトゾトシンを用いた糖尿病性腎症モデルを作成するに先立ち,骨髄移植+UUOモデルの実験を繰り返し行った.心,腎からの細胞単離,シングルセル化およびフローサイトメトリーにおける抗体濃度の設定に時間を要したが,CD45陽性で幹細胞マーカーも陽性となる新規の細胞クラスターを同定した.
今回同定した新規の細胞クラスターが,糖尿病状態で線維化にどのような影響を及ぼすかを検討する.フローサイトメトリーによる表面マーカーの検討および線維芽細胞との共培養による線維化誘導能の評価を行う.くわえて,siRNA,中和抗体もしくは阻害薬を用いてサイレンシングを行い,線維化に対する影響を評価する.
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)
Clinical and Experimental Nephrology
巻: 19 ページ: 909-917
10.1007/s10157-015-1088-0
巻: 19 ページ: 278-283
10.1007/s10157-014-0987-9