• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

腸管免疫を介した腎・腸連関機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K19450
研究機関金沢大学

研究代表者

中出 祐介  金沢大学, 附属病院, 臨床検査技師 (10749360)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード腸内細菌 / 腎臓 / 臓器連関 / 新規バイオマーカー
研究実績の概要

B6マウスに急性腎障害誘発処置を施行し、処置後2日目(腎障害極期)と10日目(腎回復期)の2点で、便(腸内細菌)、血液、尿、腎臓を採取し解析した。腸内細菌解析には、16S rRNA解析を行い、腎障害では細菌の数が増加することを明らかにした。さらに具体的な腎障害極期・回復期に関連する細菌を同定した。次に、腸管と腎臓を繋ぐ因子としてメタボローム解析により腎障害に関連する因子を同定した。この因子は腎障害に伴い腸管で増加または減少し、血液中で同様に変化した。腎臓、尿中においてもこの因子がどのように変化するか、サンプルを作成し現在解析を行っている。無菌マウスを用いた実験により、この因子は腸内細菌から産生されることも明らかにした。無菌マウスの実験系はアイソレータ―を用い、使用する器具、マウスの餌、床敷き、ゲージ、給水瓶、水などすべてを滅菌し検討をおこなった。さらに、直接腎障害マウスの便から分離した細菌を固形培地で培養し、その後液体培地へ生えてきた菌を網羅的にサンプリングし移し、その細菌がこの因子を培養上清中へ産生するかも現在検討中である。In vitroの系では、この因子を培養細胞に用いている培養液中に投与し、低酸素状態後の細胞増殖や炎症性サイトカインに及ぼす作用も評価している。現在、この因子が関連するKOマウスを追加して実験を行うために、準備もおこなっている。
マウスで同定した因子のヒトによる変化を調べるために、急性腎障害患者の便、血液、尿、唾液を採取し、マウスの実験と並行して進めている。また、ヒト細菌叢の変化も16S rRNA解析、メタゲノム解析により行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は、腸内細菌叢解析、メタボローム解析と網羅的解析を中心におこなった。それぞれの解析結果が矛盾なくつながり、順調に研究が進捗している。
次年度は、同定した新規因子の機能を詳細に解析する予定である。解析のための準備も順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

今年度の研究により、新規腎腸連関候補因子を同定した。次年度はこの因子が腎臓へ及ぼす生理活性作用について研究を進める予定である。
・障害作用の評価:リアルタイムPCR(尿細管上皮細胞をもちい、因子を培養液に添加し、炎症性サイトカインの評価をおこなう)、投与実験(因子をマウスに投与し急性腎障害後のネクローシスの評価をPAS染色でおこなう)
・回復作用の評価:MTT assay(尿細管上皮細胞をもちい、因子を培養液に添加し、増殖能の評価をおこなう)、投与実験(因子をマウスに投与し急性腎障害後の回復作用の評価をPAS染色、Azan染色でおこなう)

次年度使用額が生じた理由

当初計画していたフローサイトメトリ法よりメタボローム解析を重点的におこなったため、使用経費に差額が生じた(多くの抗体購入や、測定試薬の削減のため)。

次年度使用額の使用計画

細菌叢解析、メタボローム解析で同定した因子の生理活性作用を検討するために使用予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Impact of kidney function and urinary protein excretion on intima-media thickness in Japanese patients with type 2 diabetes2015

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Nakade, Tadashi Toyama, Kengo Furuichi, Shinji Kitajima, Yoshiyasu Miyajima, Mihiro Fukamachi, Akihiro Sagara, Yasuyuki Shinozaki, Akinori Hara, Miho Shimizu, Yasunori Iwata, Hiroyasu Oe, Mikio Nagahara, Hiroshi Horita, Yoshio Sakai, Shuichi Kaneko, Takashi Wada
    • 雑誌名

      Clin Exp Nephrol

      巻: 10 ページ: 909-917

    • DOI

      10.1007/s10157-015-1088-0

    • 査読あり
  • [学会発表] 腎臓を軸とした生体ネットワークの解明2015

    • 著者名/発表者名
      中出祐介、和田隆志
    • 学会等名
      第62回日本臨床検査医学会学術集会
    • 発表場所
      長良川国際会議場・岐阜ホテル
    • 年月日
      2015-11-19 – 2015-11-21
    • 招待講演
  • [学会発表] eGFR低下は頸動脈IMTの肥厚およびその進行に関連する2015

    • 著者名/発表者名
      中出祐介,遠山直志,古市賢吾,北島信治,宮嶋良康,南部裕子,大江弘康,長原三輝雄,酒井佳夫,和田隆志
    • 学会等名
      第62回日本臨床検査医学会学術集会
    • 発表場所
      長良川国際会議場・岐阜ホテル
    • 年月日
      2015-11-19 – 2015-11-21
  • [学会発表] Impact of kidney function and urinary protein excretion on pulmonary function2015

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Nakade, Tadashi Toyama, Kengo Furuichi, Shinji Kitajima, Yasuyuki Shinozaki, Akinori Hara, Miho Shimizu, Yasunori Iwata, Norihiko Sakai, Takashi Wada
    • 学会等名
      KIDNEY WEEK 2015
    • 発表場所
      San Diego, CA, USA
    • 年月日
      2015-11-04 – 2015-11-08
    • 国際学会
  • [学会発表] Impact of kidney function on intima-media thickness in patients with type 2 diabetes2015

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Nakade, Tadashi Toyama, Kengo Furuichi, Shinji Kitajima, Akihiro Sagara, Yasuyuki Shinozaki, Akinori Hara, Miho Shimizu, Yasunori Iwata, Norihiko Sakai, Takashi Wada
    • 学会等名
      KIDNEY WEEK 2015
    • 発表場所
      San Diego, CA, USA
    • 年月日
      2015-11-04 – 2015-11-08
    • 国際学会
  • [学会発表] 慢性腎臓病が頸動脈IMT肥厚に与える影響2015

    • 著者名/発表者名
      中出祐介,遠山直志,北島信治,相良明宏,原章規,岩田恭宜,清水美保,古市賢吾,和田隆志
    • 学会等名
      第58回日本腎臓学会学術総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2015-06-05 – 2015-06-06

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi