研究課題/領域番号 |
15K19451
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
高橋 和也 山梨大学, 総合研究部, 助教 (00646135)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 甲状腺ホルモン受容体 / 小胞体ストレス / 腎障害 |
研究実績の概要 |
小胞体ストレスは様々な腎疾患において観察されており、糸球体障害や尿細管障害の進展に関与していると考えられている。本研究は、甲状腺ホルモン受容体(TR)αが有する小胞体ストレス応答への機序を明らかにし、糸球体および尿細管間質病変の進展の抑制への応用を検討していくものである。 通常飼育下(非ストレス下)のTRαノックアウトマウスでは、野生型マウスとの比較で腎臓の形態学的な差異を認めなかったが、片側尿細管結紮を行うことで、TRαノックアウトマウスの糸球体、尿細管において、neutrophil gelatinase-associated lipocalin(NGAL)蛋白の発現量増加が顕著であった。また、予備実験において、ATF4遺伝子のプロモータ領域に対して、TRはリガンド依存性転写因子として結合することを確認していている。これらの結果は、TRαが小胞体ストレス応答関連因子としての作用を有していて、ストレス下におけるマウスの腎障害に甲状腺ホルモン受容体の作用の欠損が関与している可能性を示唆するものと考えられる。 そこで、TRαノックアウトマウスを用いて、糸球体や尿細管間質における小胞体ストレス応答蛋白と、その下流にあるアポトーシス関連蛋白の発現、キナーゼ活性に関して内因性TRが有する作用を明らかにする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
TRα欠損に伴う小胞体ストレス応答蛋白の発現量、キナーゼ活性の変化、および、その下流にあるアポトーシス関連蛋白の発現量について検討を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
ATF4遺伝子のプロモータにおけるTRαの作用部位を特定するため、luciferase assayを行う。マイクロアレイによる網羅的検索を行い、腎障害の進展においてTRが有するその他の作用機序の可能性を検討する。
|