研究課題
平成28年度は平成27年度の研究結果で、同定できていると期待されるセリンプロテアーゼ(SP)をMetsモデルにおけるSP群の関与の検証とSPによる組織障害の機序についての検討を行う予定であった。平成27年度はカモスタット(CM)がMetSによる糸球体障害を改善することを明らかにし、糸球体をレーザーマイクロダイセクションによる糸球体の単離を行い、LC-MS/MSによる解析を施行したが、予想された結果が得られなかった。平成28年度は引き続き、LC-MS/MSによる解析を継続した。サンプル量を増量するなど条件を検討し、さらに解析を行ったが注目すべきSPは認めなかった。in vivoの解析を進め、ミネラルコルチコイド受容体(MR)のシグナル分子であるSGK1が高塩食で上昇し、CMで改善していることを見出した。計画段階の予定を変更し、尿蛋白に関連する糸球体上皮細胞にMRのリガンドであるアルドステロンを投与し、そこから関連のあるSPの同定を試みる方針とした。マウス糸球体上皮細胞のMPC-5にアルドステロンを投与し、CMによるapoptosisについて検討した。アルドステロン投与にて上昇したcleaved Caspase3がCM投与により改善することを見出した。そのシグナルの上流に位置するBax/BCL-2比を見てみるとアルドステロン投与で悪化し、CMで改善していた。以上のことからCMは糸球体上皮細胞のBax/Bcl-2を改善させ、アポトーシスを阻害することで抗尿蛋白作用を発揮することを示唆していた。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
J Phamacol Sci.
巻: 132 ページ: 145-153
10.1016/j.jphs.2016.09.005