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2015 年度 実施状況報告書

電子キャリアを用いたミトコンドリア代謝是正による腎不全患者の身体能力改善法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K19465
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

三石 正憲  慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (50468485)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードサルコペニア / 内分泌学 / ミトコンドリア / 慢性腎不全 / 身体能力 / グレリン / IGF-1
研究実績の概要

サルコペニアは身体能力低下を伴う筋肉量の減少と定義され、運動不足や加齢に伴いサルコペニアが進行すると、肥満・糖尿病などの生活習慣病ならびに心血管病の発症・進展につながるため、サルコペニアの予防ならびにその改善の重要性が、内科領域において注目されてきた。申請者のグループでは昨年度までの検討で、慢性腎不全(CKD)に伴うサルコペニアの発症機構を解析し、CKDに伴うサルコペニアにおいては、筋肉量の減少が明らかとなるよりも早期の段階から、骨格筋のミトコンドリア量が減少すること(マイトペニア)を見出した。
そこで腎不全患者の身体能力改善には、ミトコンドリア活性化が有用であると着想し、本年度の検討では、骨格筋における酸素利用促進作用が最近報告された消化管ホルモンであるグレリンを、CKDモデルマウスである5/6腎摘マウスに投与して、サルコペニアの改善を検討した。サルコペニア治療における有用性が示された代表的なホルモンである、Insulin like growth factor-1 (IGF-1)の投与によるサルコペニアの改善も、同時に検討した。
1か月間のグレリン投与(0.1nmol/gBWを週3回腹腔内投与)により、5/6腎摘マウスのミトコンドリア量と筋肉量が増加し、筋力と持久力が有意に改善した。骨格筋におけるミトコンドリア生合成促進分子であるPGC-1αの発現は、5/6腎摘にてプロモーター領域のメチル化亢進を介して低下したが、グレリン投与によりそのメチル化レベルが低下し、PGC-1αの発現が回復した。一方、IGF-1の投与では、筋肉量は増加したものの、PGC-1αの遺伝子発現とミトコンドリア量は回復せず、持久力の改善も不十分であった。
これらの結果よりグレリンは、筋肉量とミトコンドリア量の双方を増やすことで、CKDに伴うサルコペニアを効率よく改善すると示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題に沿った検討で、CKDにおけるサルコペニアに対するグレリン投与の有用性を明らかにした。

今後の研究の推進方策

今回の検討により、CKDにおけるサルコペニアの治療に、骨格筋ミトコンドリアを活性化する薬剤が有用と示唆された。今後も動物モデルを用いて、骨格筋ミトコンドリア活性化に基づくサルコペニア治療の開発を推進し、十分なデータが得られた後にヒトでの臨床応用に着手する予定である。

次年度使用額が生じた理由

直接経費の端数にて10円の未使用金が発生した。

次年度使用額の使用計画

当初計画通り消耗品の購入等に使用予定。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Improvement of physical performance in 5/6 nephrectomized CKD model mice by a gastric hormone ghrelin.2015

    • 著者名/発表者名
      Tamaki M, Miyashita K, Wakino S, Hagiwara A, Inoue H, Fujii K, Fujii C, Mitsuishi M, Muraki A, Hayashi K, Doi T, Itoh H.
    • 雑誌名

      Endocrinology

      巻: 156 ページ: 3638-3648

    • DOI

      10.1210/en.2015-1353

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 高血圧における臓器代謝異常 ホルモンによるミトコンドリア制御と身体能力2015

    • 著者名/発表者名
      宮下和季, 三石正憲, 田蒔昌憲, 萩原あいか, 井上博之, 藤井健太郎, 藤井千華子, 伊藤裕
    • 学会等名
      第38回日本高血圧学会総会
    • 発表場所
      ひめぎんホール(愛媛県松山市)
    • 年月日
      2015-10-10 – 2015-10-10
    • 招待講演
  • [学会発表] Improvement of physical decline through combined effects of muscle enhancement and mitochondrial activation by a gastric hormone ghrelin in male 5/6Nx CKD model mice.2015

    • 著者名/発表者名
      田蒔昌憲, 宮下和季, 三石正憲, 村木絢子, 藤井千華子, 萩原あいか, 井上博之, 藤井健太郎, 伊藤裕
    • 学会等名
      第38回日本高血圧学会総会
    • 発表場所
      ひめぎんホール(愛媛県松山市)
    • 年月日
      2015-10-10 – 2015-10-10
  • [学会発表] Improvement of physical performance in 5/6 nephrectomized CKD model mice through epigenetic modulation of PGC-1 expression by a gastric hormone ghrelin.2015

    • 著者名/発表者名
      M Tamaki, K Miyashita, M. Mitsuishi, M Sato, A Hagiwara, H Inoue, K Fujii, H Itoh
    • 学会等名
      52nd ERA-EDTA congress
    • 発表場所
      ロンドン(イギリス)
    • 年月日
      2015-05-28 – 2015-05-28
    • 国際学会
  • [学会発表] 高蛋白食によるサルコペニア治療のピットフォールとグレリン・IGF-1の治療効果2015

    • 著者名/発表者名
      宮下和季, 三石正憲, 村木絢子, 田蒔昌憲, 藤井千華子, 萩原あいか, 井上博之, 藤井健太郎, 伊藤裕
    • 学会等名
      第88回日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      ホテルニューオータニ(東京都千代田区)
    • 年月日
      2015-04-23 – 2015-04-23

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公開日: 2017-01-06  

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