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2015 年度 実施状況報告書

新規治療法を目指したオートファジー・カテプシンの糸球体硬化進展への関与の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K19466
研究機関順天堂大学

研究代表者

高木 美幸  順天堂大学, 医学部, 助教 (80599895)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードカテプシン / オートファジー / ポドサイト / 蛋白尿 / 糸球体硬化
研究実績の概要

本研究は、ポドサイト特異的なAtg7欠損(KO)マウス、カテプシンKOマウスを利用することで、オートファジー・リソソーム経路による分解系関連蛋白と糸球体硬化進展メカニズムの関係解明を目的としている。本年度は、各KOマウスに対して自然経過観察やADR腎症を惹起させ組織障害を観察すること、野生型マウス培養ポドサイトへのアドリアマイシン(ADR)添加によるカテプシンやオートファジーの観察を予定していた。
カテプシンについては、本年度はポドサイト特異的カテプシンD(CD)KOマウスの自然経過の観察により、5か月齢で蛋白尿を検出し、20-22か月齢で腎機能低下に陥ることを確認した。KOマウスにおいては、年を経るごとにポドサイトアポトーシスの増加を認め、これによる糸球体硬化、腎機能低下となることが分かった。電子顕微鏡による観察では、ポドサイト内に神経特異的CD欠損マウスと同様の所見である、多くのオスミウム好性顆粒が貯留しており、中にはオートファゴソームの貯留、エンドソームの貯留も認められ、さらにはこの顆粒の中にスリット膜蛋白であるポドシンの貯留が確認できた。これらのことから、リソソーム機能の低下がオートファジー機能低下や不要な蛋白の処理機能低下による貯留がスリット膜形成不全による蛋白尿やアポトーシスを来し、結果として腎機能低下につながることが考えられ、カテプシンDはポドサイト障害、回復には必須であることが分かり、これらについて論文化した。今後はCDとカテプシンL、オートファジーとの関連についても検討を進める予定である。
オートファジーについては、本年度は野生型マウス培養ポドサイトへの薬剤投与による観察を行により、ADRの投与によるオートファジーの活性化を確認した。今後はオートファジー欠損時のポドサイトの変化について観察するためにAtg7欠損ポドサイトの作成、観察を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

27年度の研究により、カテプシンD欠損マウスの観察においてカテプシンDはポドサイト障害、回復には必須であることが分かり、これらについて論文化することができた。今後はCDとカテプシンL、オートファジーとの関連についても検討を進める予定である。またオートファジーについては、Atg7欠損マウスの薬剤投与による観察と、オートファジー欠損時のポドサイトの変化について観察するためにAtg7欠損ポドサイトの作成、観察を進める予定である。
オートファジーについては、in vivo,in vitroについても観察途中であるが、カテプシンDについての論文化ができたことにより、概ね順調な進展と判断した。

今後の研究の推進方策

今後は27年度に得られた結果を元に、ポドサイト障害時のオートファジーの役割について検討を進めるべく、Atg7欠損マウスの薬剤投与による観察と、オートファジー欠損時のポドサイトの変化について観察するためにAtg7欠損ポドサイトの作成、観察を進める予定である。すでにAtg7KOマウスにおいて、野生型と比較してポドサイト障害が増悪することはわかっており、このメカニズムの解明のため光顕、電顕、また免疫染色による詳しい組織評価を行っていく予定である。
本研究で得られた結果は、学内の研究協力者と適宜討論を行い、研究成果を学会、欧米紙等に随時発表していくことを考えている。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由については、本年度報告できた論文についての、掲載費請求が年度内に受けられず、掲載費として予定していた分の繰り越しが生じたため。また、カテプシン欠損における観察、報告が予定以上に先行したことにより、オートファジー欠損マウス野観察が次年度に向けて進行中であり、マウス尿蛋白測定や組織の観察に伴う費用の繰り越しのため。さらには今後のオートファジー欠損ポドサイト作成のために、諸費用が必要と判断したため。

次年度使用額の使用計画

消耗品:前年度の結果を解析するために、Atg7欠損ポドサイト作成のためのウイルス導入キット、カテプシン、オートファジー関連蛋白に必要な各種抗体の購入、蛋白尿の定量化のためにアルブミン尿測定キットの購入も昨年に続いて必要である。また、研究進行度により、マイクロアレイによる網羅的解析費用や統計・画像解析ソフトの購入も検討している。
旅費:国外出張については、アメリカ腎臓学会での成果報告のための旅費も予定している。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Cathepsin D in Podocytes Is Important in the Pathogenesis of Proteinuria and CKD2016

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto-Nonaka K, Koike M, Asanuma K, Takagi M, Oliva Trejo JA, Seki T, Hidaka T, Ichimura K, Sakai T, Tada N, Ueno T, Uchiyama Y, Tomino Y
    • 雑誌名

      jornal of American Society of Nephrology

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Podocin is translocated to cytoplasm in Puromycin Aminonucleoside Nephrosis rats and in poor prognosis patients with IgA nephropathy2015

    • 著者名/発表者名
      Fukuda H, Hidaka T, Takagi-Akiba M, Ichimura K, Oliva Trejo J.A, Y. Sasaki, Wang J, Sakai T, Asanuma K, Tomino Y
    • 雑誌名

      Cell and Tissue Research

      巻: 360 ページ: 391-400

    • DOI

      10.1007/s00441-014-2100-9.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Podocyte-specific deletion of Rac1 leads to aggravation of renal injury in STZ-induced diabetic mice2015

    • 著者名/発表者名
      Ishizaka M, Gohda T, Takagi M, Omote K, Sonoda Y, Oliva Trejo JA, Asao R, Hidaka T, Asanuma K, Horikoshi S, Tomino Y
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 467 ページ: 549-555

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2015.09.158.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Newly identified molecules related to podocyte injury induced by Adriamycin2015

    • 著者名/発表者名
      Wang J, Asanuma K, Hidaka T, Sasaki Y, Tanaka E, Takagi-Akiba E, Oliva Trejo J.A, and Tomino Y
    • 雑誌名

      Juntendo Medical Journal

      巻: 61 ページ: 34-40

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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