シナカルセト塩酸塩はカルシウム感知受容体を活性化して二次性副甲状腺機能亢進症を治療するが、継続的に投与されると過形成副甲状腺を退縮させる。この機序を解明することを目的として、シナカルセト塩酸塩投与/非投与患者の副甲状腺組織における遺伝子発現の比較検討を行った。その結果、シナカルセト塩酸塩投与患者の副甲状腺ではG0静止期から細胞周期G1期への移行が促進されており、細胞周期が回復した細胞の一部にアポトーシスが誘導されることが明らかになった。また、シナカルセト塩酸塩による副甲状腺主細胞から好酸性細胞への分化促進効果が検出され、シナカル塩酸塩の継続使用による副甲状腺への新たな作用も示された。
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