研究課題
視神経脊髄炎(Neuromyelitis optica)およびその部分症である視神経脊髄炎関連疾患(Neuromyelitis spectrum disorder:NMOSD)は、重度の視神経炎と3椎体以上の長大な脊髄炎を特徴とする中枢神経炎症性疾患であり、その多くは重篤な後遺症を残す。このうち、約6割のNMOSD患者の血清で、アストロサイトに存在するアクアポリン4(AQP4)に対する自己抗体(抗AQP4抗体)が疾患特異的に陽性となるが、残りの患者では、類似の症状を呈するにもかかわらず、同抗体は陰性である。われわれは以前、抗AQP4抗体陰性NMOSDで、ミエリンに対する自己抗体(抗ミエリンオリゴ糖蛋白(MOG)抗体)が陽性となること、抗MOG抗体は再発性特発性視神経炎や小児を中心とした急性散在性脳脊髄炎の一部でも陽性となること、抗AQP4抗体陽性例と比較して治療反応性や性差などが異なることなどを、検出特異度の高い細胞アッセイ法を用いて報告している(Sato, Neurology 2014)。更に私たちは、抗MOG抗体陽性例と抗AQP4陽性例、多発性硬化症の急性期髄液において、アストロサイトとミエリンの障害を、Glial fibrary acidic protein(GFAP), Myelin basic protein(MBP)をELISA法で測定することで評価した。その結果、抗MOG抗体陽性例が、代表的な中枢神経系脱髄疾患である多発性硬化症や、抗AQP4抗体陽性NMOSDとは異なり、重篤な脱髄を伴うが、抗AQP4抗体陽性例のようなアストロサイトの障害を伴わない疾患群であることを報告している(Kaneko. JNNP 2016)。
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