研究実績の概要 |
本研究ではパーキンソン病・パーキンソン関連疾患におけるレボドパ治療抵抗性症状に対する磁気刺激治療の開発を目的としている。そのためレボトパ治療抵抗性症状などのパーキンソン関連運動脳症状の客観的測定方法の開発、効果的刺激プロトコールの探索、多数部位刺激による効果の検討、磁気刺激効果のメカニズムの解明という4つのアプローチにより研究を行っている。昨年度までにレボドパ治療抵抗性症状の一つである歩行障害の客観的測定方法を確立し発表した(Yozu, Hamada et al, 2017)。また磁気刺激効果のメカニズムの解明の一環として新しい強力な磁気刺激法(QPS)を用いた改善機序を解明するためにQPSによる使用依存的運動学習への効果を検討した。結果はQPS5という運動野興奮性を上昇させる方法では使用依存的運動学習が促通された。多数部位刺激については探索的に行ったものの単部位刺激とくらべ著明な効果を認めなかった。さらにより効果的な刺激プロトコール探索として新しいコントローラブル経頭蓋磁気刺激装置を用いた基礎的な生理学実験により一部の運動学習への経頭蓋磁気刺激による効果は、連合性ペア刺激を用いた場合に限ってコントローラブル刺激装置を用いてもあまりかわらないという結果が得られた。従ってコントローラブル刺激装置による効果は少なくとも使用依存的な運動学習については従来の装置を用いても変わらないことが示された。また国際共同研究としてイギリス・オーストラリアの研究機関とともに磁気刺激効果に関するばらつきの研究を行いBrain stimulation誌に発表した。
|