• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

多系統萎縮症における早期診断マーカーの開発:神経回路解析を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 15K19484
研究機関名古屋大学

研究代表者

原 一洋  名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80748369)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード多系統萎縮症 / 画像解析 / 白質回路
研究実績の概要

方法:当院で評価した連続MSA 29例のうち、頭部MRIや認知機能評価が病状のため不能な2例を除いた27例を、年齢・性別で統計学的に有意差のない健常群27例(63.2±7.8歳、男/女 16/11)と比較検討した.当病院倫理委員会の承認の上、MSA全例でunified MSA rating scale(UMSARS)を評価し、認知機能の評価には Addenbrooke’s Cognitive Examination Revised(ACE-R)を用いた.MSA-C群は15例(64.0±7.0歳、男/女 9/6)、MSA-P群は12例(62.7±10.0歳、男/女 7/5)であった.画像は3.0T MRIを用いて3D-T1、拡散テンソル画像、安静時脳機能MRIを施行し、解剖学的な容積や皮質下の白質回路解析であるVBMやTBSSと機能的な回路解析である独立成分分析(ICA) にて萎縮部位の確認と脳内神経回路解析を行った(FDR, P<0.05).
結果:VBMにおいてMSA-P群は健常群と比較し明らかな萎縮は認めなかった.一方MSA-C群では小脳萎縮は認めるものの大脳萎縮は認めなかった.安静時脳機能MRIではMSA-C、MSA-Pともに全般的には良く保たれていた.一方、TBSSではMSA-C群とMSA-P群を比較しともに小脳及び前頭葉の異常を認めた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

VBMにおいてMSA-C群では小脳萎縮を認めるものの大脳萎縮は認めなかった.またMSA-P群は健常群と比較し明らかな脳萎縮は認めなかった.安静時脳機能MRIではMSA-C群、MSA-P群ともに全般的には良く保たれていた.一方、TBSSではMSA-C群とMSA-P群を比較しともに小脳及び前頭葉の異常を認めた.つまりMSA群では健常群と比較し萎縮の程度が目立たない時期でも前頭葉中心に解剖学的神経回路障害を認めた.病型別の解析では両群ともに前頭葉中心に認め病型別では有意な差はなかった.

今後の研究の推進方策

今回の研究で症例数は少ないもののMSA群と健常群を比較検討することでMSA群での神経回路障害を明らかにした.また病型別で明らかな神経回路障害に違いはなかった.ただし症例数が少ないため更なる症例の蓄積が必要である.また神経回路において前頭葉中心に障害を認めており、その点から前頭葉機能を評価する認知機能評価との関連を確認すべきと考える.本研究は横断研究の群間比較である.当施設では健常高齢者における認知機能、画像評価の縦断研究が進行中である.そこでの大規模な健常高齢者デ-タからMSAの症例の個別解析また今後は運動機能障害や認知機能障害と神経回路障害の経時的な変化を明らかにすることが出来ると思われる.そのため更に症例の継時的な蓄積は欠かせない.
次に現在既にMSA群 27例を蓄積しているため画像を活用したパ-キンソニズムの鑑別に使用できる可能性がある.そのため今後パ-キンソン病や進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症など他のパ-キンソニズムを呈する変性疾患も症例蓄積することが重要である.一方過去の報告で機能的神経回路障害を認めるアルツハイマ-型認知症やパ-キンソン病とはMSAは明らかに結果が異なっている点は非常に興味深く認知症を呈する疾患とも比較検討していく予定である.

次年度使用額が生じた理由

3月に予定していた検査の支払いが平成28年度になる。

次年度使用額の使用計画

本年度より翌年度にかけて予定している検査の支払いに充当する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 拡散強調画像を用いた多系統萎縮症の上小脳脚病変の検討2015

    • 著者名/発表者名
      原 一洋
    • 雑誌名

      神経内科

      巻: 82(6) ページ: 562-566

  • [学会発表] 多系統萎縮症の脳内神経回路解析2015

    • 著者名/発表者名
      原 一洋
    • 学会等名
      第33回日本神経治療学会総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県名古屋市)
    • 年月日
      2015-11-26 – 2015-11-28

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi