研究課題
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態解明、治療法開発のために病態関連分子を明らかにする必要がある。本研究の目的は大規模ALS患者コホート等から収集した多数のALS患者のDNA検体を用いて、ALS関連遺伝子の網羅的シーケンスを行い、これによりわが国の孤発性ALS患者における既知のALS関連遺伝子変異の頻度を明らかにする、孤発性ALSの発症および臨床像に影響を与えている遺伝子変異の探索、同定を行い、孤発性ALSの病態関連遺伝子を明らかにすることである。SOD1、ALS2、SETX、SPG11、FUS、VAPB、ANG、TARDBP、FIG4、OPTN、VCP、UBQLN2、SIGMAR1、DAO、NEFH、DCTN1、TAF15、EWSR1、PRPH、GRN、CHMP2B、ZNF512B、PFN1、ATXN2、TFG、C9orf72、RNF19A、SQSTM1、以上の28のALS疾患関連遺伝子のエクソン領域を次世代シークエンサーを用いてハイスループットかつ網羅的に解析するシステムを構築しており、これを活用し、遺伝子解析を施行した。家族性ALS 39例、孤発性ALS 469例、正常コントロール191例の遺伝子解析を行い、家族性ALSの48.7%にあたる19例と孤発性ALSの3.0%にあたる14例に既知の遺伝子変異を認め、家族性ALSの15.4%にあたる6例と孤発性ALSの6.8%にあたる32例に新規の病原性が疑われるvariantを認めた。この結果から日本におけるALSの遺伝的背景が明らかになり、欧米の既報告と比較し、日本ではC9orf72の遺伝子変異の頻度が低く、SOD1遺伝子変異の頻度が高いことが判明し、日本の孤発性ALSでは欧米と遺伝的背景が異なることが示唆された。また、ALS疾患関連遺伝子のvariantは孤発性ALSにも重要な役割を果たしていると考えられた。
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Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry
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