研究実績の概要 |
メダカMyD88とメダカTRIFに対するウサギポリクローナル抗体を用いてMyD88-/-、TRIF-/-メダカ脳を用いて蛋白質レベルでの欠損の確認を試みたが、ウェスタンブロッティングではいずれの蛋白質の発現も確認できなかった。脳における発現が低い可能性を考えて、今後whole bodyを用いての解析を予定している。また、MyD88-/-、TRIF-/-メダカの易感染性が問題にならないことを確認し、また、GBA+/-MyD88+/-, GBA+/-TRIF+/-メダカ同士の交配を開始してGBA-/-MyD88-/-, GBA-/-TRIF-/-メダカの解析に着手した。GBA-/-メダカの特徴として、約2か月齢から異常回転運動が観察される。これは中枢神経の変性を反映していると考えており、まずは異常回転運動発現時期に違い(改善)が見られるかを観察した。しかし、GBA-/-MyD88-/-, GBA-/-TRIF-/-メダカ共に、GBA-/-メダカと比較して異常回転運動発現時期に違いは見られなかった。さらに、神経細胞死の程度に改善が見られるか、視床ドパミン神経細胞(ヒト中脳黒質ドパミン神経細胞に相当)と青斑核ノルアドレナリン神経細胞を3ヵ月齢にてカウントした。サンプル数が少なく結論が出せていないものの、現在のところ、いずれの神経細胞群においても脱落の改善に乏しいという結果である。今後、生存期間、上記神経細胞のカウント、炎症抑制効果の評価(魚類ミクログリアのマーカーであるAPOE のin situ hybridization、炎症性サイトカインmRNA 定量測定)、α-Syn 蓄積の評価(免疫組織染色、ウェスタンブロット)を行い、何らかの所見に改善が見られないか、解析を予定している。
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