研究課題
筋萎縮性側索硬化症(ALS)における一次運動野の神経細胞脱落は、上位運動ニューロン徴候の原因となる重要な病理学的所見である。functional magnetic resonance imagingの低周波帯域の波から算出されたamplitude of low frequency fluctuation (ALFF)値が、ALSの前帯状回、運動前野と一次感覚運動野で低下していることを見出した (Sako et al., Neurol Sci 2017)。これまでの研究では、ALSにおける一次感覚運動野でのALFF値の低下は検出されなかった。先行研究と比較し、本研究では早期・軽症の患者が対象であり、この差が同部位でのALFF値低下検出に貢献したと推察している。一次感覚運動野のALFF値はdiffusion tensor imagingから再構成されるfractional anisotropy (FA) mapの内包後脚におけるFA値と負の相関があった。FA値は脳部位間の構造的結合性を反映し、ALSでは皮質脊髄路のFA値が罹患期間と負の相関があることが知られており、罹患期間が長いほどALFF値が上昇すると考えられた。すなわち、病初期には認められる一次感覚運動野におけるALFF値の低下が、その進行とともにマスクされていくと考えられた。receiver operating curveのarea under curveを用いて、罹患期間が一年未満のみのALS患者と全ALS患者を対象にした場合のALFF値の診断能力を比較したが、前者のほうが優れていた。この結果は一次感覚運動野のALFF値低下がALSの早期診断法として有用である可能性を示唆している。今後症例数を増やし、さらに強固なエビデンスを確立するとともに、進行に伴い顕在化するALFF値上昇の原因究明も行う予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Nuclear Medicine Communications
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1097/MNM.0000000000000674
Neurological Sciences
10.1007/s10072-017-2831-y
Magnetic resonance in medical sciences
10.2463/mrms.mp.2016-0016
Human Brain mapping
巻: 38 ページ: 617-630
10.1002/hbm.23260
Neurology
巻: 87 ページ: 1925-1933
Journal of the Neurological Sciences
巻: 368 ページ: 104*108
10.1016/j.jns.2016.06.061