研究課題
アルツハイマー病やパーキンソン病の病態に重要な役割を果たしている蛋白質がlipid raftsに局在していることも報告され、ますます“lafts病”として疾患を捉える事の重要性が増してきている。我々は、中性スフィンゴミエリナーゼ(nSMase)に注目した。nSMaseはlipid raftsの重要な構成分子であるスフィンゴミエリン(SM)を分解し、GM1ガングリオシド(GM1)や中性糖脂質の基質となるセラミドを産生する。この作用はlipid raftsの構造を変化させることによって、lipid rafts上にある重要な分子の局在や機能を変化させることが推定される。平成27年度は、先ず抗GM1抗体による、中性スフィンゴミエリナーゼ(nSMase)分子の局在の変化を解明すること目的にsubcellular fractionation法を用いた分析を行った。平成28年度は引き続き、抗GM1抗体によるnSMase活性の変化について検討を行った。市販のモノクローナル抗GM1抗体によりPCtrk細胞のnSMase活性の変化を調べた。抗GM1抗体を用い、PTtrk細胞を0.5時間、1時間、6時間、12時間、24時間で処理した。その細胞のhomegenateをwhole cell、またsubcellular protein fractionation法で細胞の各画分のsampleを作成した。これらのsampleのnSMase活性を専用のキットを用いて測定した。結果、膜画分において、抗GM1抗体で24時間処理すると、有意にnSMase活性が低下していることが判明した。また、WB法では同様に膜画分でnSMase量が減少していた。その結果を反映して、膜画分のsphingomyelin量が増加していた。さらにLipid rafts画分でも、nSMase活性が有意に低下していた。
3: やや遅れている
各画分の脂質抽出と脂質分析の結果の集積に遅れがあるため。
各画分の脂質抽出と脂質分析の結果の集積をすすめ、結果をまとめ、英語論文として発表する。
研究がやや遅れているため、この分の物品費が繰り越しとなった。
次年度は研究を進め、本年度の繰越額と次年度の研究費を用いて、研究結果を出し、論文を作成する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (13件) 備考 (1件)
Muscle & Nerve
巻: 55 ページ: 483~489
10.1002/mus.25368
J Neurol Sci
巻: 377 ページ: 174-178
10.1016/j.jns.2017.04.026
巻: 15 ページ: 344-348
10.1016/j.jns.2016.07.054
Int Heart J
巻: 57 ページ: 507-510
10.1536/ihj.15-444
Neurol Clin Neurosci
巻: 4 ページ: 31-33
10.1111/ncn3.12029
http://www.fujita-hu.ac.jp/~sinkei/