研究課題
アルツハイマー病やパーキンソン病の病態に重要な役割を果たしている蛋白質がlipid raftsに局在していることも報告され、ますます“Lafts病”として疾患を捉える事の重要性が増してきている。我々は、中性スフィンゴミエリナーゼ(nSMase)に注目した。nSMaseはlipid raftsの重要な構成分子であるスフィンゴミエリン(SM)を分解し、GM1ガングリオシド(GM1)や中性糖脂質の基質となるセラミドを産生する。この左葉はlipid raftsの構造を変化させることによって、lipid rafts上にある重要な分子の局在や機能を変化させることが推定される。平成27-28年度は、先ず抗GM1抗体によるnSMase活性や分子の局在の変化を、subcellular fractionation法を用いて行った。結果として、膜画分では、抗GM1抗体によりPCtrk細胞のnSMase活性は低下し、nSMase量が減少していた。平成29年度は、抗GM1抗体が、脂質やエキソソームに与える影響を検討した。抗GM1抗体で処理した細胞と未処理の細胞で、全細胞の酸性スフィンゴミエリナーゼ活性には影響はなかった。抗GM1抗体で処理した細胞ではlipid rafts画分のnSMase活性も退化していた。抗GM1抗体で処理した細胞と未処理の細胞での脂質分析では、全細胞では酸性糖脂質と中性糖脂質の組成に変化は認めなかった。しかし、膜画分では抗GM1抗体で処理した細胞ではスフィンゴミエリンの有意な増加を認めた。その他の膜画分の、中性糖脂質や酸性糖脂質の組成には変化を認めなかった。細胞培養液中のエキソソーム量は、抗GM1抗体で24時間処理した細胞培養液で有意に減少していた。
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