研究実績の概要 |
57名のMSA患者(男性27名、女性30名)が本研究に参加した。その中、15名で臨床的進行が速く、そのうち2名が経過中に突然死を起こした。血液検査においては、男性患者においては血清尿酸値と疾患の進行速度の間に負の相関がある事を突き止めた。女性患者においてはこの研究内容は英文査読付の国際誌に掲載された。血清25-ヒドロキシビタミンDと血清1,25-ジヒドロキシビタミンD3と疾患進行度の関係を調査したが、有意な関連性は見いだせなかった。後者の研究結果については、現在論文執筆中であり、第14回パーキンソン病・運動障害疾患コングレスで発表予定である。嚥下造影検査の結果については、2016年に行った横断的評価では、MSA患者の嚥下障害スケール増悪速度はPDのそれの2倍以上速いことが分かった。この結果は、第57回日本神経学会学術大会で発表した。現在研究期間中に2回以上嚥下造影検査を施行したMSA患者およびPD患者、進行性核上性麻痺の患者を対象に、比較調査を行うとともに、MSA患者内で嚥下障害進行速度の疾患進行への影響および突然死の有無での嚥下障害の特徴を解析しているところである。現在、嚥下造影検査およびポリソムノグラフィーの検査結果を解析中である。また腸内細菌叢の違いによる発症及び進行度への影響を調査するための研究へも共同研究者として2020年より参加している(19K10654)。
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