研究課題
本研究の目的は、糖代謝におけるナルディライジンの役割を明らかにすることである。申請者は、遺伝子改変マウスや培養細胞株を用いた解析を行うことで、以下の様な研究成果を得た。1)ナルディライジンが膵β細胞機能に果たす役割の解析ナルディライジンが膵β細胞機能に重要な転写因子であるMafAの発現制御を介して、インスリン分泌や糖代謝をコントロールすることを明らかにした。また、ナルディライジンによるMafAの制御機構にIslet-1が関与し、ナルディライジンとIslet-1の特定のドメインが重要な役割を果たしていることも明らかにした。さらに、膵β細胞特異的ナルディライジン欠損マウスとRosa26-ECFPマウスを交配することで、膵β細胞のlineage tracingの系を確立した。その実験系を用いた解析の結果、ナルディライジンが膵β細胞の機能だけでなく分化にも関与する可能性が示唆された。2)ナルディライジンが末梢臓器におけるインスリン感受性制御に果たす役割の解析臓器(肝細胞、脂肪細胞など)特異的ナルディライジン欠損マウスを樹立し、普通食条件下、高脂肪食条件下での解析を行った。その結果、肝細胞や脂肪細胞のナルディライジンがマウス個体レベルの耐糖能、インスリン感受性を制御することを明らかにできた。さらに解析を進めたところ、ナルディライジンが臓器自律的に糖代謝を制御するだけでなく、臓器間コミュニケーションにも関わることで、エネルギー代謝に重要な役割を果たしていることが示唆された。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
Cancer Science
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1111/cas.13204
Diabetes
巻: 65 ページ: 3015-3027
10.2337/db16-0178/-/DC1
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2016/160630_1.html