研究課題/領域番号 |
15K19517
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
朴 盛浚 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (60635853)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 食餌制限 / 長寿 / NPY / 脂肪代謝 |
研究実績の概要 |
エネルギーを供給する白色脂肪組織は低温刺激やベターアドレナリン性刺激を与えると褐色脂肪化すると報告され肥満や糖尿病を抑制するターゲットとして国内及び外国で活発に研究されている。特に、白色脂肪の褐色脂肪化は白色脂肪の解剖学的な位置によってその能力が異なる。例えば、鼠径にある皮下脂肪は生殖腺の内臓脂肪より交感神経刺激の分布・ノルエピネプリンターンオーバー率が高いため、白色脂肪の褐色脂肪化が起こりやすい。そして、エストロゲンは視床下部を通って体温を維持する褐色脂肪の発達を調節するなど白色脂肪の褐色脂肪化にも関与すると報告されている。 本研究では食餌制限マウスにおけるNeuropeptide Yの欠損は体脂肪を減少させ、死亡率を高めることが分かって、その原因を調べるため白色脂肪の褐色脂肪化を調べた。白色脂肪細胞は食餌制限によって小さくなり、Neuropeptide Yの欠損によってさらに小さくなっていることが分かった。この現象は脂肪分解抑制剤、Acpimoxによって抑制された。そして、白色脂肪の褐色脂肪化に関連する遺伝子の発現レベルを白色脂肪組織で調べた結果、食餌制限によって増加され、Neuropeptide Yの欠損によってさらに増加されていることが分かった。この現象は脂肪分解抑制剤、Acpimoxによって抑制された。 食餌制限マウスにおけるNeuropeptide Yの欠損マウスの初期脂肪は異常な白色脂肪の褐色脂肪化による脂肪代謝の不均衡だっと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の結果から食餌制限マウスにおけるNeuropeptide Yの欠損マウスの初期死亡は過度な脂肪分解が一つの原因だと分かってきたが、その詳しいメカニズムを調べるために白色脂肪の褐色脂肪化を関連して調べた結果面白い結果が見られて、この研究内容に重要なポイントになった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度にNPYを中心とした脂肪代謝経路で、食餌制限の寿命延長に重要な遺伝子ネットワークの構築及び新しいアンチエイジングと寿命調節に関連する遺伝子の発掘のためにマウスの皮下脂肪を使って次世代シークエンスを行って、その結果を分析する予定。具体的にはNPY+/+CRサンプルとNPY-/-CRサンプル結果を比較した時に変化する遺伝子とNPY-/-CR サンプルとNPY-/-CR-ACMサンプル結果を比較した時に変化する遺伝子を長寿データベース及び文献で分析し、まだ報告されてない新長寿遺伝子の候補を選別する予定である。実際、老化(2, 23ヶ月齢)及び 長寿(CR)モデルマウスの皮下脂肪組織を使って一次選別した遺伝子を検証して選別した遺伝子のノックアウト及び過発現マウスを作製(siRNA、CRISP/Cas9システムを活用)する予定。
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