研究実績の概要 |
肥満でのNPYの役割を調べるために、高脂肪食餌(HFD)を4ヶ月間与えた後、脂肪代謝の変化・脂肪細胞の肥大化・炎症に与える影響を検討した。 NPY+/+(WT)マウスでは、 HFDにより内臓脂肪組織での脂肪細胞のサイズが大きくなっているのに対して、 NPY-/-(KO)マウスではHFDにより脂肪細胞の大きさに有意な変化が見られなかった。また、炎症関連遺伝子はHFDにおいて上昇していることがみられたが、KOマウスにおいてはその上昇が見られなく、WTのHFDと比較し、減少傾向が見られた。このことから、NPYの欠損マウスではHFDによる脂肪細胞の肥大化と脂肪蓄積が抑制され、炎症が引き起こらないことが分かった。 初年度にNPYを中心とした脂肪代謝経路で食餌制限の寿命延長に重要な遺伝子ネットワークの構築及び新しいアンチエイジングと寿命調節に関連する遺伝子の発掘のためにマウスの皮下脂肪を使って次世代シークエンスを行ってその結果を分析した。具体的にWT-CRサンプルとKO-CRサンプル結果を比較した時に変化する遺伝子とWT-CR サンプルとKO-CR-ACMサンプル結果を比較した時に変化する遺伝子(増加・減少:103個, 減少・増加:155個)を選別し、実際、老化(2, 23ヶ月齢)及び 長寿(CR)モデルマウスの皮下脂肪組織を使って二次選別した。WT-CR群とKO-CR群の結果を比較して発現が減少する遺伝子と、KO-CR群とKO-CR-ACM投与群の結果を比較して発現が増加する遺伝子の共通遺伝子の中から、コントロール群(2ヶ月齢)と比較し中年期(23ヶ月齢)マウスの白色脂肪組織で発現が増加しCRで減少する遺伝子ZFP90を選別した。その後CRISPR-CAS9を用いてZFP90欠損マウスを作製した。
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